コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ひさしぶりのfitbit日記:到達した世界の都市の数々

前回fitbit日記を書いたのはいつだったろうと思い調べてみたら、なんと約1か月前の5/17日のことでした。

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昨日(6/15)までのfitbit開始してから611日間の累積歩数は14,552,841歩、歩行距離は10,932kmです。一日平均にすると17.9kmですね。我ながらよく歩いています。

おかげさまでこの約2年間かぜもひかず、体重も体型も維持しています。体脂肪率は最後に測ったときが6%でしたが、おそらくほとんど変わっていないとおもいます。

 

この30日間に到達した都市をみてみました。

 

ちなみに大圏距離はGoogleマップでマニュアルで測ってます。

こんな感じ。

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次の主要都市の目標はポルトガルの首都リスボン、11,154kmです。

その先はケニアの首都ナイロビ(11,269km)、キューバの首都ハバナ(12,131km)といったところが続き、主にアフリカと中南米攻略の域に入ってきます。

クライバーン国際ピアノコンクール:印象に残った演奏(4、最終)ファイナル

クライバーン国際ピアノコンクールが日本時間で日曜の最終日で終わり、若干「クライバーンロス」になっていましたが、ようやく回復してきました。

印象に残った演奏をラウンドごとに独断と偏見で選んでお送りしてきましたが、これで最後です。

ファイナルは6名の演奏をほぼ全て聴きました(ウェブで視聴しました)。

室内楽1曲(指定候補から選択)全楽章をブレンターノ弦楽四重奏団、自身の選択のピアノ協奏曲をレナード・スラトキン指揮フォートワース交響楽団と1曲演奏するというタフなレパートリーです。

室内楽については特に強く印象に残った演奏はなかったので、印象に残った演奏は6名の協奏曲から選びます。

2人います。

ひとりは優勝(金メダル)したYekwon Sunwoo(韓国、28歳)によるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番です。

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スケールの大きさが唯一の評価ポイントです。ミスタッチとかオケとの対話とかダイナミックレンジの広さとはあくまでも副次的なものです。

ピアノ協奏曲というものの魅力をそもそもどこまで伝えられているか、ピアノソロでは達し得ないスケールの大きさが唯一最大の評価ポイントと個人的には考えていますが、今回のコンクールで最もそれを強く感じたのはSunwooのこの演奏でした。

 

もう一人は3位(銅メダル)のDaniel Hsu(アメリカ、19歳)です。

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コンクール最終日の投稿にも書きましたが、少しミスタッチガ目立ちました。が、そんなことは彼の瑞々しいエネルギッシュな熱演の価値を損なうものではありません。 

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ほんとうに学ぶところの多いコンクールでした。自分の見る目、聴く耳も成長したのみならず、自分自身の練習、演奏にも違いが出てきたようです。

クライバーン国際ピアノコンクール:印象に残った演奏(3)セミファイナル

まだまだクライバーン国際ピアノコンクールを地球の裏側から観戦した熱狂の余韻がのこっているじむが印象に残った演奏を今回はセミファイナルから勝手に選びます。

セミファイナルともなると、聴衆の期待もかなり高まってきます。予選や二次予選でどんどん期待値は上がる一方ですから、コンテスタントのプレッシャーも高まります。

 

しかもいくら皆若いとはいえ、疲れがないとは言えません。まだこの段階ではファイナルのコンチェルトや室内楽の練習もしなければならない訳ですから。

 

まずはすっかりじむのお気に入りになってしまったアメリカのDaniel Hsuです。

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特にブラームスヘンデルの主題による変奏曲とフーガをお聴きください。この曲はブラームスの作品中個人的には最高傑作であり、数ある変奏曲の中でもメンデルスゾーンの厳粛なる変奏曲、ラフマニノフコレルリの主題による変奏曲等と並び最も好きな変奏曲の一つであります。この曲を弾けるピアニストは優れたピアニストである、という基準を持っているぐらいです(個人的な基準です)。というのも、変奏曲というのは表現の幅が求められると同時に構成感を持たせるのが難しいからでもあります。Danielの非凡さがこの演奏でわかります。

 

次はカナダのトニーです(またまた登場です)。

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なんといってもショパンソナタ2番の演奏です。特に3楽章「葬送行進曲」の中間部です。トニーが流した一筋の涙はこのコンクール全体を通じて最も印象的な部分です。これは観客には見えなかったかもしれませんがウェブキャストでははっきり見えます。汗という人もいますが、あれだけ目に涙を湛えていたのですから涙でしょう。もちろん、涙を流すこと=いい演奏ということではまったくありません。感情に流されるのがマイナスに働くこともあります。しかしトニーの場合は本当にゾーンに入っていたのでしょう、しかも聴衆にとって説得力がある方向にです。

クライバーン国際ピアノコンクール:印象に残った演奏(2)二次予選

昨日のエントリーでは予選(Preliminary)ラウンドで印象に残った(個人の感想です)を3名挙げさせていただきました。

 

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きょうは二次予選(Quarterfinal)で印象に残った演奏を挙げたいとおもいます。

先ずは韓国のダソル・キム(Dasol Kim)です。

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ショパンのプレリュード作品28全曲は前々回のクライバーンで優勝を辻井さんと分かち合ったハオチャン・チェンがいまでも記憶に新しいですが、このダソルの演奏もすばらしいです。セミファイナルに残ったのもうなずけます。

 

次はロシアのユーリ・ファボーリンの弾くスクリャービンピアノソナタ第10番です。

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この曲にはぼくはかなりうるさいです。まことに手前味噌ですがかつてこの曲を弾いてあるコンクールで優勝したことがあるので、おそらく20名を超えるピアニストの方々から様々な指摘を受け、師匠からはきびしく振付けられたこともあり、どうしても見る目が厳しくなってしまいますが、そこはファボーリン、殆ど文句のつけようがありません。

 

3人目は予選とかぶりますがカナダのトニーです。

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特に1曲目のスクリャービンの幻想ソナタです。スクリャービンソナタの中では入門的に位置付けられてしまっている曲ですが、特に1楽章の天上美はなかなか表現が難しいですが、トニーはやはりここでもゾーンに入ってます。

 

そして最後に韓国のホンギ・キムです。

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このリサイタルではぜひ2曲目の、めったに演奏されないラフマニノフピアノソナタ1番がおすすめです。2番はしょっちゅう演奏されるあまりに陰に隠れてしまっているのは長大で難解だということもあります。これを持ってくるところはさすがです。

 

次回はセミファイナルから印象に残った演奏をとりあげます。

クライバーン国際ピアノコンクール:印象に残った演奏(1)予選

第15回クライバーン国際ピアノコンクールが終わってしまいました。今回ほど熱心にコンクールを観戦したことは、前回の浜松国際ピアノコンクール(浜松に3回聴きに行きました)以来のことなので、なんだか少々喪失感がありますが、コンテスタントのレベルもウェブキャスト(medici tvに感謝!)も結果も納得のいく素晴らしいコンクールでした。

 

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いい演奏ばかりだったのですが、中でも個人的に印象に残った演奏をいくつか挙げてみたいと思います。

今回は予選(Preliminary)から挙げてみたいとおもいます。

まずは第3位に入賞したDaniel Hsuの予選:

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3曲ともすばらしいです。ベートーヴェンは大好きな曲ですが、これまで29番や32番は弾いたものの、31番はなんとなく距離感があって手掛けられずにいました。しかしDanielの演奏を聴いてこれはやはりやらねば、と思いました。

今回のコンクールの委嘱作品であるMarc-Andre HamelinのToccataも秀逸です。Danielはこの作品の演奏でも全参加者中最優秀の演奏として受賞しています。

3曲目のリストのドンジョバンニはおそらくリストの全ソロ作品中の最難曲ですが、Danielは楽に弾き切っています。これはなかなかできないことです(かくいう自分も4年前に弾きましたが汗)。

 

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もう一人、予選で印象に残っているのはロシアのAbrosimovの演奏です。残念ながらQuarterfinalには進めませんでしたが、熱演だと思います。

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ラフマニノフコレルリの主題による変奏曲も前々から弾きたいと思っている曲です。ラフマニノフの作品では最も好きな作品かもしれません。

ペトルーシュカは国際コンクールでは必ずと言っていいほど取り上げられる人気曲ですが、迫力の演奏でした。ただし、リスクを取り過ぎたと審査員からは見られたかもしれません。

 

もう一つはカナダのトニーの演奏です。

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ベートーヴェンの30番のソナタも大好きな曲です。トニーのいいところはとにかく「ゾーン」に入ることです。これがQuarterfinal、Semifinalになるとさらにゾーンになってくるのです。審査員特別賞を受賞したのも納得です。

 

次回はQuarterfinalから取り上げたいと思います。

クライバーン国際ピアノコンクール最終日

3週間、4ラウンドにわたり30名のコンテスタントの熱演が繰り広げられてきた第15回クライバーン国際ピアノコンクールもいよいよ今日が最終日です。

6名のコンテスタントが競うファイナルラウンド、きょうは昨日に引き続きピアノ協奏曲が3名とレナード・スラトキン指揮フォートワース交響楽団の共演で演奏されています。

昨日の3名についてはこちらの記事に書きました:

 

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今日の演奏者、演目と時間割は以下のとおりです:

日本時間午前5:00(現地時間6/10午後3:00)

RACHEL CHEUNG(香港、25歳):ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番作品58ト長調(BEETHOVEN Piano Concerto No. 4 in G Major, op. 58)

日本時間午前5:45(現地時間6/10午後3:45)
GEORGY TCHAIDZE(ロシア、28歳):プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番作品26ハ長調(PROKOFIEV Piano Concerto No. 3 in C Major, op. 26)

日本時間午前6:45(現地時間6/10午後4:45)
DANIEL HSU(アメリカ、19歳):
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番作品23変ロ短調TCHAIKOVSKY Piano Concerto No. 1 in B-flat Minor, op. 23)

 

本日のトップバッターは香港の25歳、ファイナルに勝ち残った中で唯一の女性であるRachel Cheungが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏しています。

この曲はぼくは中学2年のときに知り熱中した曲で、今でもベートーヴェンのピアノ協奏曲では最も好きな曲です。3番や5番「皇帝」ほどの華やかさは無いものの、じっくり語りかけてくる優しさに溢れた傑作です。

1楽章、Rachelはピアノソロをやさしく語りかける口調のように始め、決して流されることなく堂々とオーケストラと対話しています。

2楽章、前楽章とはうってかわって猛るオケで奏でられる序奏の後、たっぷりと間をとって宥めるような口調のピアノ、見事です。

終楽章である3楽章、堂々としかし優しさを一貫して忘れず弾き切りました。ブラボー!

 

次はロシアの28歳、Georgy Tchaidzeです。プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番です。この曲は前回の浜松国際ピアノコンクールでガゼブ君が弾いて優勝したことが記憶に新しいです。前回第14回クライバーン優勝者のホロデンコもこの曲を弾きました。

1楽章、大きなミスはないのですが、ほんのわずかですがオケとずれるのが気になってしまいました。ずれるというほどではないかもしれませんが、ぴったりと合わない箇所がいくつかあるのです。オケのテンポとチャイゼが求めるテンポあるいは両者の考えるアゴーギクが合わないのでしょう。

2楽章はピアノの美しい音色が良かった。彼のタッチはこの曲に合っている気がします。

3楽章はオケとの一体感があります。が、1楽章同様「ぴったり」とは合わないのがどうしても気になってしまいます。

しかしそうは言ってもかなり高い水準での話。彼の危なげないメカニック、にじみ出る自信、コンサートピアニストとしての活動準備ができていると感じます。

 

この瞬間、ファイナルは現地に聴きに行っているアメリカの友人もいてそれはそれでうらやましいのですが、ウェブキャストではコンテスタントのインタビューが視れるのでよいことです。RachelとGeorgyのインタビューを視ていて、二人とも"sincerity"(誠実さ)を口にしているのが印象的でした。音楽に対して誠実であること、これが最も大切であると。自分にもいま言い聞かせています。

 

さて、いよいよこの第15回クライバーン国際ピアノコンクール最後の演奏、大トリを飾るのは個人的にも応援しているアメリカのDaniel Hsuチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾きます。クライバーン自身も好んで演奏した曲です。

オケの短い序奏に続き、堂々たるオクターブ和音がオケの勇壮な旋律を伴奏するセクション、見事です。Danielはその後も抒情たっぷりにピアノを十分に鳴らしています。色彩・表情の変化も明瞭です。余裕もあります。しかしらしくないミスタッチが少なからず出ており、これが審査にどう影響するかが若干気になります。2楽章、3楽章は尻上がりによかったですが。

ロシアの2人(ファボーリンとチャイゼ)や韓国のサンウ、アメリカのブロバーグと較べると、ダニエルは線が細い感じがしてしまいます。知的な演奏ではあると思うのですが、チャイコフスキーという選曲が彼の良さを引き出す選曲かというと疑問に思えてしまいます。

 

審査結果発表まで1時間以上あるので朝食をとってピアノの練習再開です。

日本時間で9:00にAward Ceremony(授賞式)が始まりましたが、コンクールの授賞式は開催者のスピーチや関係者への謝辞が30分は続きます。

 

さていよいよ受賞者の発表です。

審査員特別賞(Jury Discretionary Awards)は賞金4千ドル

  • 韓国のDasol Kim(セミファイナリスト)
  • イタリアのLeonard Pierdomenico(セミファイナリスト)
  • カナダのTony Yike Yang(セミファイナリスト)

いずれも納得です!

 

次に、委嘱曲の演奏に対する表彰(Beverly Taylor Smith Award for the Best Performance of a New Work)は賞金5千ドル

  • アメリカのDaniel Hsu(やたっ!)

 

次に、室内楽の演奏に対する表彰(Steven De Groote Memorial Award for the Best Performance of Chamber Music)は賞金6千ドル

  • アメリカのDaniel Hsu(やたっ!すごい!)

 

次に聴衆賞(Audience Award)は2,500ドル

  • 香港のRachel Cheung(納得!)

 

いよいよ上位入賞者の発表です。この結果はファイナルだけではなく、予選(Preliminary round)からのすべての演奏が審査対象となります。また各受賞者には3年間のコンサートマネジメント

 

第3位(Bronze Medal): アメリカのDaniel Hsu(これは大方の予想を裏切っていますがぼくはうれしい!)

第2位(Silver Medal): アメリカのKenneth Broberg(順当ですね、アメリカ人ファイナリスト2人とも入賞!)

そして

第1位(Gold Medal): 韓国のYekwon Sunwoo(予想あたった!!)

 

本当に素晴らしいコンクールでした!感動をありがとう!!

 

クライバーン ファイナル3日目

第15回クライバーン国際ピアノコンクール、4日間にわたるファイナルラウンド3日目はいよいよピアノ協奏曲です。

 1日目、2日目についてはそれぞれおととい、きのう書きました。

 

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3日目はファイナリスト6名の半分の3名がそれぞれ選択したピアノ協奏曲をスラトキン指揮フォートワース交響楽団と熱演を繰り広げました。

Yury Favorin (ロシア、30歳)

プロコフィエフ: ピアノ協奏曲第2番 作品16 ト短調(PROKOFIEV Piano Concerto No. 2 in G Minor, op. 16)

Kenneth Broberg (アメリカ、23歳)

ラフマニノフ: パガニーニの主題による狂詩曲 作品43 イ短調(RACHMANINOFF Rhapsody on a Theme of Paganini, op. 43)

Yekwon Sunwoo (韓国、38歳)

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第3番 作品30 ニ短調(RACHMANINOFF Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30) 

 

ファボーリンは、この曲はもともと特に1楽章はその10分近くの長大なピアノソロ(カデンツァ)があり見せ場ではあり、ピアノが前面に出る曲ではあるのですが、そればかりが目立つと協奏曲としての醍醐味が薄くなってしまいます。強靭なテクニックは既にソロでアピールできているので、オケとの対話が見たかったのですが少し影を潜めてしまいました。

 

ブロバーグはすっかり聴衆もオケも味方につけたようです。個人的には好きな曲ではないのですが、いい演奏だったと思います。

 

サンウは今日もスターでした。ソリッドな曲作りとメカニック、オケとの一体感、ダイナミックレンジの広さと表現力、申し分ありません。優勝候補筆頭です。 

 

明日はいよいよファイナル4日目、そしてクライバーン国際ピアノコンクール2017の最終日、授賞式も行なわれます。

 

明日の演奏者、演目と演奏時間です:

 

日本時間午前5:00(現地時間6/10午後3:00)

RACHEL CHEUNG(香港、25歳):ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番作品58ト長調(BEETHOVEN Piano Concerto No. 4 in G Major, op. 58)

 

日本時間午前5:45(現地時間6/10午後3:45)
GEORGY TCHAIDZE(ロシア、28歳):プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番作品26ハ長調(PROKOFIEV Piano Concerto No. 3 in C Major, op. 26)

 

日本時間午前6:45(現地時間6/10午後4:45)
DANIEL HSU(アメリカ、19歳):
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番作品23変ロ短調TCHAIKOVSKY Piano Concerto No. 1 in B-flat Minor, op. 23)

クライバーン ファイナル2日目

今日は(現地時間6月8日木曜夜)クライバーン国際ピアノコンクールファイナルラウンド2日目でした。ピアニストもさることながら、ブレンターノカルテットのすばらしいこと。特にチェロが光ります。

本日の演奏者と演奏曲目は下記のとおり:

 

Georgy Tchaidze (ロシア, 29歳)

ドヴォルザーク: ピアノ五重奏曲 作品81 イ長調

 

Rachel Cheung (香港, 25歳)

ブラームス: ピアノ五重奏曲 作品34 ヘ短調

 

 

Daniel Hsu (アメリカ, 19歳)

フランク: ピアノ五重奏曲 ヘ短調

 

チャイゼのドボルザークは決してピアノが出しゃばらず、カルテットの呼吸も合っており、とてもいい演奏でした。

チュンのブラームスは・・・うーん最初の5分聴いて飽きてしまいました。そつなく弾けばいいというものではないですね。しかもこのレベルのコンクールの舞台で期待が最高潮に達しているファイナルでは少なくとも。

シューのフランクは、19歳とは思えない(そもそもこのコンクールのファイナルに残っている時点で年齢はほとんど関係ないですが)成熟さを感じさせました。フランクを選んだのも決して背伸びではなく、彼のレパートリーの広さをアピールするためだとしてもそれは成功していたと思います。

 

6人のファイナリスト全員の室内楽を聴いて、ここまではやはり1日目のサンウがトップ、次にチャイゼとシューとファボーリンがつけている感じかとおもいます。

ファボーリンは個人的にはどうしてもセミファイナルのハンマークラヴィーアが良くなかったのが引っ掛かるのです。

 

さて明日ファイナル3日目は、最後の課題であるピアノ協奏曲(2つ目のピアノ協奏曲です)。

Yury Favorin (ロシア、30歳)

プロコフィエフ: ピアノ協奏曲第2番 作品16 ト短調

(PROKOFIEV Piano Concerto No. 2 in G Minor, op. 16)

Kenneth Broberg (アメリカ、23歳)

ラフマニノフ: パガニーニの主題による狂詩曲 作品43 イ短調

(RACHMANINOFF Rhapsody on a Theme of Paganini, op. 43)

Yekwon Sunwoo (韓国、38歳)

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第3番 作品30 ニ短調

(RACHMANINOFF Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30) 

 

曲目的にはファボーリンが弾くプロコフィエフの2番(これは1楽章だけは自分もオーケストラと共演したことがあります)が大好きな曲なので楽しみですが、演奏者としてはソロも五重奏もいままで非の打ちどころのないサンウのラフマニノフ3番がどれだけスケール大きな演奏になるのかもとても楽しみです。

クライバーン ファイナル1日目

今日は(現地時間6/7水曜夜)クライバーン国際ピアノコンクールファイナルラウンド1でした。演奏者と演奏曲目は下記のとおり:

 

Kenneth Broberg, United States(23歳)

ドヴォルザーク: ピアノ五重奏曲 作品81 イ長調

Yury Favorin, Russia(30歳)

フランク: ピアノ五重奏曲 ヘ短調

Yekwon Sunwoo, South Korea(28歳)

ドヴォルザーク: ピアノ五重奏曲 作品81 イ長調

 

個人的な評価ですが、今日の3人ではSunwoo(サンウ)が圧倒的でした。室内楽の評価ポイントである、一体になること、そして特に弦楽カルテットを立てるときは立て、前面に出すところは出し、自分が引き立つべきときは引き立つ、そして弦楽とピアノの対話が自然にできていること、これらがプロのピアニストとしてしっかりできると思わせてくれました。すばらしいドボルザークでした。

ファボーリンは自分の強みを活かす選曲であったとは思いますが、サンウほどの一体感、対話は感じられませんでした。

ブロバーグは大きなミスはなかったものの、明らかに何とかズレないようにの一心で、しかしやはりドボルザークのピアノパートは簡単ではないので(何を隠そうこのぼくもフォートワース響のメンバーと現地で6年前に弾いたことがあるので)、一生懸命感が拭えなかったですね。たとえソロリサイタル3つとコンチェルト2つがあるにしても、もとよりクライバーンは数ある国際ピアノコンクールの中でも要求が最も厳しい訳ですし、条件は全員同じ訳なので、言い訳にはならないです。

 

さて明日ファイナル3日目は残り3人、ロシアのチャイゼ、香港のチェン、そしてアメリカのシューのクインテットです。楽しみです。

 

ソコロフで聴くベートーヴェン初期ピアノソナタ

先日BS2で放映されたソコロフ(グレゴリー・ソコロフ)の弾くベートーヴェンの初期ピアノソナタを聴いています。

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ソコロフは現代最高のピアニストと言われています。そして彼はその呼び名に相応しい唯一のピアニストだと思うのです。

グリゴリー・ソコロフ - Wikipedia

彼は飛行機嫌いで知られ、残念ながらコンサートツアーはヨーロッパ限定です。

また、ソロに徹する主義で、協奏曲や室内楽はほとんど手掛けません(まったくやらないということではないです)。理由は、完全に自分でコントロールしたいからということです。徹底しています。そして彼の演奏はその言葉を裏付けています。

単にメカニカルに完璧であるということだけでは当然なく、その色彩感、躍動感、音楽の構成、どの側面をとってもすべてはその音楽のポテンシャルを最大限に発揮し、音楽そのものが持っている本質的な「魔法」を実現し聴衆を虜にします。

CDもたくさん出ていますし(ぼくは10枚以上は持っています)、YouTubeにも音源が多くあるので彼の素晴らしさの一端を垣間見ることはできますが、できればぜひ一度はわざわざヨーロッパに行ってでもライブで聴きたいピアニストです。

 

これは最新の(今年の)ローマでのリサイタルの様子です。

www.youtube.com

 

そのほかぜひ聴いていただきたい演奏は、スクリャービンソナタ第3番、ショパン前奏曲集作品28、ベートーヴェンのハンマークラヴィーアとソナタ9番、10番、17番、バッハのゴールドベルク変奏曲クープランのティクトクショク、バッハのパルティータ第6番、ショパンピアノソナタ2番・・・、枚挙に暇がありません。。。

 

ベートーヴェンの初期ピアノソナタは、自分も小学生から中学生にかけて特に2番や1番、4番、7番はよく弾いていました。

それだけにどこか郷愁を感じるところがありますが、それなしでも傑作揃いだと思います。

1楽章だけ弾かれることが多いですが、個人的には2楽章や4楽章が素晴らしいと思います。

特に作品2-2の2楽章は、古典派ピアノソナタの全ての楽章の中で最も好きな楽章の一つです。

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久しぶりにあらためて弾いてみよう。