聴いてきました。
オペラシティタケミツメモリアルホール。
現代曲のプログラムにも関わらずかなりの聴衆。現代最高のメシアン弾きと言われるエマールだからこそでしょう。
今回でメシアンまなざし全曲コンサートは5人目ですが、これほどの高い水準の演奏は初めてです。
もはやこのコンサートは メシアンまなざし全曲がとかピアニストとしてという次元ではなく人間の知性の水準という意味において圧倒された貴重な経験でした。
今6番、10番、13番に取り組んでいますが、ますます練習に身が入ります。
モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel、 1875-1937)が1914-1917年に作曲した組曲「クープランの墓(Le Tombeau de Couperin)は全6曲からなりますが、その第2曲がフーガです。
哀切なテーマはしかしアーティキュレーションと休符を大切に弾くことは当然とはいえとても難しい。
以前クープランの墓は全曲をコンサートで弾いたことがありますが、当時は今から思うとフーガをきちんと弾けていなかった気がします。
この傑作に敬意を表するべく今一度挑戦しようと思います。
アポロ宇宙計画、アポロ13号の時に司令官が言ったとされる人気のフレーズである(実際には言ってない)。
その時の意味は、failureすなわちアポロ13号を地球に帰還させることが出来ないということはNASAの選択肢にはない、という決意を端的に表現したものだ。映画アポロ13号の台詞は印象的であった。
転じて、日本語で言う「絶対に成功する」「決して失敗しない」の意味でビジネスでも健康法でも教育でもなど様々な分野で使われる。
決意を示すことや効果をマーケティング上使う上では有効だが、これが組織の中で使われると「決して失敗は許されない」として、リーダーから発せられると、切羽詰まった現場が意図していなかった苦渋の選択を迫られてしまうこともある。気をつけてほしい。昨今の日本企業の相次ぐデータ改ざんなどの不祥事の背後にこれはなかっただろうか。
バルコニーの紅葉がすっかり鮮やかに紅く染まりました
季節を間近に感じます
ビッグサイトで開催中の国際ロボット展2017の招待券をいただいたので昨日午前中仕事の情報収集と何人かの知り合いに会いに行って来ました。
あいにくの天候でしたが、先日のFACTORY展よりもはるかに多い入場者数だったようです。
多軸多関節ロボットの展示が大半でした。これからの主流になりそうです。
これはドイツのKUKA社による協調作業。
カワダのコンパクトロボット。
ファナックの大型(1,700㎏の負荷OK)多関節ロボットはかなり目立ってました(ファナックカラーの黄色が映えるというのもありますが)。
不二越の医薬品・食品用ロボット。
数は少ないですがいまトレンドのクリーンロボットもありました。これは高薬理活性物質ハンドリング用。
ロボット(AIやIoTの応用ですね)の導入を契機に日本の製造業が進化を加速することに期待します。
仕事を含め常に生産的創造的であろうと努めているが、その基本の一つがthe third wayである。
問題を解決する上で、新しいことを生み出そうとする上で欠かせないのは有効な議論である。
ある論点に対して、Aという仮説とBという仮説があり、互いに対立する仮説である場合、どちらが全面的に正しいかもしれないし正しくないかもしれない。またいずれも部分的には正しいかもしれない。純粋科学を含め、現実にはほとんどの場合こういう状況であろう。そうなると、Aを主張する者がBを論破することもその逆も生産的な解決にはならない。お互いの正しい部分を認めつつ、では最も正しいと考えられる(そのときおかれている状況に照らして)Cとはどのようなものかを建設的に議論し合意する、その合意したCこそがthe third wayである。
もともと政治の世界において、資本主義か社会主義か、に対していずれでもないあり方は何か、を指すことば、あるいはその姿勢をthe third way(第三の道)と呼んだのが始まりだが、これは政治以外の多くの状況で貫くべき姿勢であろう。
与党の政策に対してただ真っ向から反対を唱えるばかりでは野党の存在意義はない。すべてが間違っているのではなく、全面的に反対するのではなく、与党の政策の正しい部分を認め、さらに良い政策を生み出していく役割を担うのがあるべき野党の姿であろう。
世には両断論法があふれている。白か黒かつけたがる。つけられれば楽だが必ずしもそうではない。力のあるものが白といえば白になる場合もある。白でも黒でもないのでグレーとっても、グレーにも濃淡がある。それを曖昧にしたまま都合の良いときに限りなく白に近いグレーにしたり、黒に近いグレーにご都合主義で捻じ曲げることは必ずしも良くない。
ここのところ仕込んでいる曲が気づいたらフーガばかりなので、いつという予定はないがソロリサイタルをやると想定した場合のプログラムを考えてみた(妄想)
バッハ:平均律第1巻第3番BWV848 フーガ(4分)
バッハ:平均律第2巻第16番BWV885 フーガ(4分)
バッハ:平均律第2巻第23番BWV892 フーガ(4分)
ベートーヴェン 「プロメテウスの創造物」のテーマによる15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 作品35よりフーガ(1802)(6分)
ベートーヴェン: ピアノソナタ29番作品106「ハンマークラヴィーア」 第4楽章(1818)(11分)
ブラームス: ヘンデルのテーマによる変奏曲とフーガ 変ロ長調 作品24よりフーガ(1861)(7分)
リスト:BACHの名による幻想曲とフーガよりフーガ(1871)(8分)
ラヴェル:組曲「クープランの墓」第2曲「フーガ」(1917)(3分30秒)
メシアン 嬰児イエスに注ぐ20の眼差し 6.神によって全ては成された(1944)(11分)
バーバー:ピアノソナタ作品26第4楽章(1949)(5分)
メシアンの「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」(Vingt Regards dur l'enfant Jesus)の全20曲中最難曲とされる第6番「その方によってすべては成された)(通称:天地創造)はやや複雑な主題が古典的なカノンや反行、逆行に加え、メシアン独自の語法である「非対称の拡大」、それに逆行不可能なリズムを駆使した、大変複雑かつ緻密な構成の壮大なフーガです。
主題はまず1~2小節目、左手低音部に現れます。
これが12小節にわたり「非対称な拡大 」で展開されます。非常に弾きにくいです。
この部分の非対称な拡大を、根音であるDisを基準として図示すると、以下のようになります。
美しいですね!青い線が元の主題です。
この後に今度は主題がソプラノ、テノール、バスに1/2拍ずつずれて3声カノンが奏され、またその後に1拍ずれての3声カノンが奏されます。
50小節からは、ここがこの曲の最大の難所でもあるのですが、左手オクターブで主題の断片がしかも1音ごとにオクターブをずらしかつ非対称な拡大で展開されるというとんでもないことをメシアン先生はなさっておられます。
この部分の非対称な拡大を図示するとこんな感じになります。
美しいですね!
72小節目もとんでもありません。50小節目からの「逆行」、つまり楽譜を右から左、下から上に読む形になります。まるで時間を巻き戻しているかのようです。
実はこの曲は1小節目から129小節目がほぼ完全に時間軸上で対称(鏡像ですね)になっているのです。誰よりも対称性を愛したといわれるメシアンならではですね。
さらに、130小節目からは主題による3声カノンが現れます。冒頭近くのカノンは主題そのものの形を保っていますが、ここでは非対称な拡大となっており難しさは段違いです。しかも非対称な拡大の拡大の仕方が前出とは異なっているというところがまたメシアンらしいところです。ただし跳躍が少ないだけ弾きやすいです。
こうやって分析していると構造は頭に入っては来るのですが、やはり響きを確認しつつ体に覚えこませていくしかありません。
毎日、少しずつではありますが丁寧に練習を進めています。