コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

スルタノフのクライバーンコンクールライブ

最近めったにCDを聴かなくなったのだが、実にひさしぶりにスルタノフの音源をCDで聴いた。

1989年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのライブ録音である。

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収録曲はベートーヴェンピアノソナタ熱情、ショパンピアノソナタ第3番作品58などだが、熱情もショパンソナタもかつては好きだった(中学生の頃)ものの、あまりに多く演奏を聴かされすぎて食傷気味である。

しかしそれをスルタノフなら覆してくれるのではと思い聴いたが、やはりスルタノフは期待を裏切らない。

ショパンソナタ4楽章の最後の和音が鳴るや鳴らぬやで会場からは堰を切ったかのような喝采と拍手の嵐。実際凄いmagneticな演奏だったのであろう。

ただ勢いがあるだけではない。烈しい中に歌があり対位法的表現は明確で、何より一音一音に主張が必ずある。

この演奏、1年前の自分であれば半分も凄さがわからなかったであろう。

ショパンソナタのような精緻に作られた大規模な作品を弾きこなすピアニストの演奏にこれまで出会っていないだけかもしれない。

 

ショパン前奏曲集作品28(78)曲目概要まとめ

ここでひとまず作品28全24曲のスペックと、自分が推奨する演奏時間と表現する感情を一覧にしたものを表にまとめる。

推奨する演奏時間は基本的に自分が良しとするAlfred Cortotの演奏(1933)を5秒単位で切り上げたものに若干自分好みで加減したものを秒数で示した。トータルは2,040秒、すなわち34分ちょうどとなる。

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右端列に示した、「表す感情」もあくまでも個人的な見解である。

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ショスタコーヴィッチの交響曲第7番の位置付け

1/2夜、BS2で玉木宏の音楽サスペンス紀行を放映しているのを番組が始まってしばらくしてから録画してみた。

レニングラード現地での貴重なインタビュー取材に基づく佳作である。

テーマはショスタコーヴィッチの交響曲第7番「レニングラード」である。

ナチスに包囲されていた最中、ナチスにその日に襲撃すると威嚇された中で行われたコンサート。

酷寒と飢餓で多くの市民が命を失い続けていた中でのコンサート。

ソ連と米国が連合国として「利用」した交響曲

およそ交響曲の歴史においてこれほど「利用された」曲はないであろう。

この第7交響曲については多くの人が語っている。いくつか文献を入手したのでより深く史実を紐解いてみようと思う。

と同時にこの曲についても研究してみよう。

ショパン前奏曲集作品28(77)最近のレコーディング(4)Emmanuel Despax

 先日投降した最近のレコーディング以来、ひさしぶりにApple Musicでショパン前奏曲集作品28の音源を検索したところ、新たに追加されていた。フランス人ピアニストEmmanuel Despaxの2017年の演奏である。

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 ちなみに前回投降したレコーディング評はこちら:

 

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Emmanuelの演奏を1番から24番まで通して聴いてみたが、ほとんど違和感がない。

丁寧に音楽を作っていることがよくわかる。特に17番。

あえて難を言わせていただくとすれば、曲間の間の長さである。たとえば19番と20番。ここは個人的にはattacaであるべきだと思うが、しかしそう作曲者が指示している訳ではないので、あくまで主観である(しかし主観は重要)。

もう一つ、かなりの実力者だとは思うのだが、24番の右手の高速パッセージが遅れ気味になっているのが気になる。曲のテンポ設定自体は遅すぎもせず速すぎもせずよいのだが、高速パッセージの小節がいずれも結果としてritになっているのは惜しい。

しかし全体としてはこれまで評させていただいた4つの音源の中で個人的に最も高く評価したい。ナチュラルで丁寧、かつメカニックを決して前面に出すことのない演奏である。

2台ピアノ協奏曲の午後

ここのところプロのピアニストのコンサートで立て続けに失望したため、これからはバイオリンやシンフォニーのコンサートに限ると思っていたところに、4人の気鋭の日本人若手ピアニストである實川風氏、黒岩航紀氏、務川慧悟氏、小林海都氏による、リスト1番、バルトーク3番、サン=サーンス5番、プロコフィエフ3番という、選曲の妙も併せ持った企画に惹かれたのであった。

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これはプログラム。
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リスト1番演奏後に弦が切れるアクシデントを即興トークで間を持たせるというイベントはあったものの、いずれもピアノとオケの掛け合いが楽しい(ピアノばかりにならない)曲を2台ピアノならではの難しさも踏まえた上で実に息の合った、互いに刺激し合っていることも充分に汲み取れるエキサイティングなコンサートで、久しぶりにピアノコンサートを楽しめた。

個人的にはバルトーク3番とサン=サーンス5番が好きなのだが、同じピアノでも個性のある響とスタイルを見せていた。

彼らの今後の活躍にますます期待したい。

ショパン前奏曲集作品28(76)演奏会用選曲オプション

そろそろ公開の場で演奏することを念頭に置いて現実的な選曲オプションを考えてみる。

マチュアなので、ソロリサイタルやジョイントリサイタルを開催するとして全曲を弾くということも考えてはいるが、先の話になるので、仲間うちのコンサートやコンクール、あるいはPTNAピアノステップで制限時間があることを前提に考えてみる。

考え方として、連続であることと、8番、12番、16番、24番のいずれかで終わることが基本前提になるが、例外もある。

 

1.制限時間5分の場合・・・コンクールの1次予選などで5分というのが最短の制限時間である。この場合は3通り考えられるが、個人的には①がベスト:

①1番から4番まで(4曲): 4分30秒

②9番から12番まで(4曲): 3分45秒

③22番から24番まで(3曲): 4分0秒

 

2.制限時間7分の場合・・・7分のオプションもいちおう考えておく。この場合は4通り考えられるが、個人的には③がベスト。

①3番から8番まで(6曲): 6分35秒

②7番から12番まで(6曲): 5分50秒

③14番から16番まで(3曲): 6分20秒

④21番から24番まで(4曲): 5分45秒

 

3.制限時間10分の場合・・・10分というのは頻度の高い制限時間である。この場合は4通り考えられるが、個人的には③以外ならどれでもOK。

①1番から8番まで(8曲): 9分15秒

②4番から12番まで(9曲): 9分10秒

③13番から16番まで(4曲): 8分50秒

④18番から24番まで(7曲): 9分40秒

 

4.制限時間15分の場合・・・これも頻度の高い制限時間である。この場合は3通り考えられるが、個人的には③がベスト。実際このオプションで演奏したことがある。

①1番から12番まで(12曲): 12分50秒

②7番から16番まで(10曲): 14分40秒

③16番から24番まで(9曲): 13分25秒

 

これ以上の制限時間(20分、25分、30分など)となると、どの曲から始めれば制限時間におさまりかつ24番まで弾けるかという選択になる。自分の指定テンポでは全曲で34分なので、35分以上あれば全曲弾ける。

20分の場合: 14番から24番まで(11曲): 18分40秒

25分の場合: 9番から24番まで(16曲): 24分45秒

30分の場合: 5番から24番まで(20曲): 29分30秒

この中では25分のオプションが最もおさまりがよい。

 

ショパン前奏曲集作品28(75)オーケストラ編曲版(その6)

前回(その5)に引き続き、Jean Francaix編曲によるショパン前奏曲集作品28オーケストラ版の個人的な評価を書いてみる。今回は21番から24番まで(21番は32分37秒から))。

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第21番変ロ長調:弦楽がメイン。Ges durに転調するところで木管にバトン渡すと思いきやそのまま弦楽。このまま弦楽で行くと思いきやCes durでフルートが出現。粋な編曲である。

第22番ト短調:前半は弦楽パートの掛け合い、中間部は金管が主役に、コーダはTuttiという管弦楽法の基本のようなストレートな編曲。よい。

第23番ヘ長調:高音部の十六分音符のパッセージはフルート、低音部はファゴットで牧歌的な雰囲気を醸し出しつつ主旋律は弦というイメージどおりの編曲で気に入った。

第24番ニ短調:この曲の持ち味である切迫感焦燥感と高速パッセージが音を省いているところがオーケストラ編曲ではやや失われてしまっているのが惜しい。他の曲は多くのピアニストの演奏(速すぎる場合が多い)より緩めのテンポで良いのだが、24番は一気呵成に速めに弾いてほしいところ。惜しい。

ショパン前奏曲集作品28(74)オーケストラ編曲版(その5)

前回(その4)に引き続き、Jean Francaix編曲によるショパン前奏曲集作品28オーケストラ版の個人的な評価を書いてみる。今回は17番から20番まで(17番は25分08秒から)。

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第17番変イ長調:個人的にはこの編曲は気に入った。師匠からシャープ系は弦、フラット系は木管を意識して弾くようにと言われているので、As durが弦でE durが木管オーボエ)になっているのは逆ではないかとも思ったが、聴いていてそれほど違和感はない。

第18番ヘ短調:この編曲はどうも違和感があるのだがなぜだろう。レシタティーヴォ的な楽曲をソロではなく合奏でやることの限界が現れているのだろうか。

第19番変ホ長調:ピアノソロの飛翔感がオーケストラだとまた違った感じになるのだと感じた。これはこれでアリなのであろう。

第20番ハ短調金管でこのコラールを演奏するのは迫るものがあってよい。また次いで主役は木管、繰り返しは弦楽と、音色を明確に使い分けるのは管弦楽ならでは。これは良い編曲である。

ショパン前奏曲集作品28(73)オーケストラ編曲版(その4)

前回(その3)に引き続き、Jean Francaix編曲によるショパン前奏曲集作品28オーケストラ版の個人的な評価を書いてみる。今回は13番から16番まで。

 

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第13番嬰ヘ長調:高音部の旋律がバイオリンとビオラ、低音部がチェロという構成はとても良い。中間部ではクラリネットが旋律を奏でるがこれも雰囲気があってよい。ここまで聴いた中でこの編曲が個人的には最も気に入っている。

第14番変ホ短調:旋律のラインがわかりにくくなりがちなこの曲をファゴット(おそらく)にゆだねているところがよい。後半シンバルを入れているのも奏功している。

第15番変ニ長調:気に入ったのは旋律をオーボエに受け持たせているところ。また、中間部の連打音が不安感を煽る音色を選択しているところも好感が持てる。

第16番変ロ短調:これくらいのテンポで弾くピアニストはまずいないが(遅い)、これぐらいでよいのではないかと思う。十六分音符のパッセージが最初は弦楽のみ、次いで木管が加勢する感じもよいし、前半はバスが弱いと思ったが後半はバスが明瞭でこれもよい。いずれにしても単調になりがちな(ピアノソロの場合)この曲をどう演奏するかという意味でとても参考になる。

ショパン前奏曲集作品28(72)オーケストラ編曲版(その3)

前回(その2)に引き続き、Jean Francaix編曲によるショパン前奏曲集作品28オーケストラ版の個人的な評価を書いてみる。今回は9番から12番まで。

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第9番ホ長調:ゆったりした大河の流れを思わせるこの曲の主旋律を金管に担当させているのは良いと思う。壮大な雰囲気が出ていてこれはオケ版ならでは。

第10番嬰ハ短調:ピッコロなど木管で高音部の速いパッセージを奏するのはそれはそうだろうと思う。これぐらいのテンポでピアノソロも弾いてよいであろう。

第11番ロ長調:7番同様前半は弦楽だけで構成する一方、後半ではオーボエが出現。これは良い。

第12番嬰ト短調:弦と木管の掛け合いがよい。この曲はしかしもう少しテンポが速くても切迫感、焦燥感が出てよいのでは。少し上品すぎるきらいがある。