コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

オーケストレーター(6)オーケストレーターへの進化を確実にする5つの基本動作

もしもし、アラフィフ経営コンサルのじむですが、これまで(1)~(5)で、これからの時代を生き抜く働き方としての「オーケストレーター」とは何かについて、ぼくの実体験を踏まえて述べてきました。

今回は、オーケストレーターを目指す上で今すぐ着手できるコツ的なものをご紹介したいとおもいます。既に読者の皆様の中には優れたオーケストレーターもいらっしゃるかもしれませんが、さらに能力を高めるためにも、また自らの能力を再認識するためにも役に立つ面もあるとおもいますし、そうでない方々にとってはより意義深いことかとおもいます。

オーケストレーターは人類の進化形、と申し上げましたので、ぼく自身も含めて皆がオーケストレーターになり、さらに強く優れたオーケストレーターになることで、集団としての進化を遂げることにつながれば、これに優るよろこびはありません。

前回、オーケストレーターの個人としての5つの要件をお話ししました。簡単におさらいしますと、5つの要件は以下のとおりです。

  • 地頭が強い: しつこく考えることができる。当たり前の答を出すことには興味がなく、答を出すプロセスを楽しむ
  • 天邪鬼である: 多数派の考え方や意見を踏まえた上であえてこれに反するような言動を行なう
  • 好奇心が強い: 自分の専門分野のみならず異なる専門分野にも好奇心を抱く
  • 神経質である: 心配性であり、気配りができる、慎重であるゆえに失敗することが少ない、道徳観が強い、几帳面である
  • 承認欲求が強い: 自己の成長を認識して継続的に自分を動機付ける

これら要件およびその全体としてのバランスをとるべく、オーケストレーターへの進化を確実にする5つの基本動作を、多分にぼくの経験に基づく部分が多いですが、以下に述べたいと思います。

  1. 理想を抱く: 常識やすぐ認識できてしまう限界をあえて無視して、「本当にあるべき姿」を描いてみましょう。シンプルに考えましょう。青臭いと言われようとかまいません。プロジェクトなら即物的な成果だけでなく、プロジェクト・チームが皆心からやる気を出してお互いを高め合い、求められる成果をはるかに超えるものを創り上げることを皆が楽しんでやり切る、そういう理想を抱いてみましょう。プロジェクトとは、それが如何なるプロジェクトであれ、そもそもそれに関わる全ての人を幸せにすべきものです。
  2. 相手に好奇心を抱く: ちょっと苦手だな、嫌だな、と感じる人にこそ、何かしら良いところ、学ぶべきところがある筈です。「反面教師」という言葉がありますが、もともと孔子論語の中で自分より優れていると思う人にも劣っている人にも学ぶべきことがあると言っていることです。それがどうしても難しいとおもったら、人間に匹敵する人工知能がまだ到底実現できていない状況にあることを考えてみてください。そもそも人間はそれだけ凄い存在なのだということを。偏見や固定観念を捨て、まっすぐに人と向き合うことは相手にも伝わりますし、それがチーム・ダイナミクスを大幅に改善することになるのです。
  3. 自分を売り込む: 自分を卑下してはなりません。他人にしかわからない自分の良さというのは勿論あります。人間だれしも、自分について意識できていることは意識できていないことに較べるとほんの僅かなのです。しかしながら、ほとんど初対面の人にとっては、自分に意識できていない自分の魅力を判ってもらうのは難しいでしょう。とにかくまずは自分が意識している自分の良いところをアピールしましょう。誰もほめてくれなくてもまず自分をほめるのです。米国を中心に少し前に流行った、アファーメーション(affirmation)の考え方に近いところもありますが、自分に自信を持つだけでも魅力的になります。自信を持つということは決して背伸びをするとか尊大になることではありません。静かな自信というものが大切です。客観的に際立って何かに秀でていることがなければ自信を持ってはならないということでもありません。何かが好き、興味がある、これがしたい、というだけでも十分アピールになるのです。
  4. 難しそうなことに首をつっこんでみる: いままで難しそうだと思って敬遠したことでも、それが自分がやりたいことに関係がありそうだと思ったら、完全に理解できることは難しそうでも、とにかく調べたり人に聞いたりしてみましょう。ウィキペディアNAVERで調べるもよし、本を読むでもよし、決して専門家ではなくとも同僚や友人に聞いてみましょう。まずは5分でも良いので時間を使ってみましょう。食わず嫌いはT字の横棒を短くするだけです。
  5. 好きなことにはまる: 自分の専門分野でまずはちょっとしたことでも徹底的に取り組んでみるのもいいし、何か新しいことでもいいですが、まずは自分がもともと好きなこと、得意なことを深く突っ込んでみましょう。また、趣味でも良いと思います。テレビでちょっと気になった話題について徹底的に調べてみることでもいいでしょう。前記の「難しそうなことに首をつっこんでみる」は必ずしも好きなことではないので少しかじってみるだけでよいですが、自分が一瞬でも「これ」と思った事には少し多めの時間を割いてみましょう。目的はT字の縦棒を伸ばすことです。自分が得意なことを徹底してみるのは、結果がどうであれ自信につながるし、今まで見えていなかった新たな地平が開けてくるはずです。ぼくにとってはそれが音楽であったりします。

 

これら5つの基本動作で、まずはオーケストレーター進化始動のエンジンをかけてみてください。進化のスピードには、それぞれの置かれている環境や経験・能力により当然ながら差は出てくるとおもいますが、オーケストレーターの進化は競走ではありませんので、ご自分のペースで少しずつでも着実に前に進んでいただければとおもいます。必ずやオーケストレーターとしての進化を実感していただける日が早晩来ると信じています。