コンサルタントはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストが仕事術とピアノと減量と英語と沖縄とかについて語ります

痛みとはなにか

おはようございます。

前回お話ししたかゆみより痛みの治療は進歩しているとはいえ、未だに痛みのメカニズムそのものがよくわかっていないというのが現代の科学の現状です。

最近、広島大学の研究者が、難治性疼痛モデルマウスを用いて、脊髄の構成細胞の一つであるアストロサイトに主に発現するタンパク質connexin43が減少し、それに伴って痛みの伝達が亢進していることを明らかにし、これによって新たな疼痛治療薬が開発される可能性が示唆されていますが、まだまだproof of conceptを示すか否かの段階の話ですので、これが実現するのは当分先のことです。多くの人が悩まされる慢性の腰痛は、実は腰ではなく脳の痛みを抑制する機能が衰えているのである、という話をいつかのNHKスペシャルでも取り上げていますが、このようにまだメカニズムそのものが研究段階なのです。

末期がんや術後の疼痛が最も強い痛みとされていますが、これら疼痛にはロキソニン注射やさらにはモルヒネでも効かない場合があり、末期がん患者の緩和ケアで重要な疼痛管理には近年神経電気刺激が使われるようになっています。神経電気刺激は「侵襲的」にデバイスを用いなければならないため、最近の新製品開発では実際にデバイスを体内に埋め込む前に、体外でその効果をモニタリングするシステム等が登場してきています。

また、痛みというのは現在に至ってもまだ本人にしかわからない症状です。医者からしても「どれくらい痛い?」と尋ね、痛みの強さは患者本人の感覚・主観に頼るしか術はなく、臨床現場で使われている「ペイン・スケール」というのも、何段階かの痛みを(たとえば顔のしかめ具合のイラストを使ったフェイス・スケール等)患者が指し示すというような原始的な方法が未だに使われています。

私がある大手外資系医療機器メーカーに在籍していた頃、いまは日本法人のトップや本社の担当者たちと、日本の先端技術を有する中小企業をグローバルに紹介すべく、募集を募って東京で技術展示会をやったりしました。

そのときある地方の電子機器メーカーさんが、社長さんの発案で独自に開発した、電気的に痛みを再現して痛みの強さを測る機器を持ってきてくれました。

が、残念ながらそれでもやはり患者の主観に頼らざるを得ない点で、グローバルに紹介する技術には選ばれなかったことがあります。

医療機器市場では診断は治療ほどお金がつかないのでなかなか開発のインセンティブも上がらないのですが、痛みというのは患者のQOLを著しく損ね衰弱させ、場合によっては激痛で死に至ることもあるため、上記のような痛みのメカニズム解明の研究進展には大いに期待したいところです。

最近ではVR(仮想現実)で痛みをシミュレーションするといった開発も進められているようですが、ではそれで実際に激しい痛みが顕著に改善されるかというと、未だそこに至る目途はついていないようです。

今後在宅医療が日本でも進むにつれ、がんやその他慢性疾患に伴う痛みの軽減はより重要なものとなってくることが予想されますし、痛みは医療の中でも注目の分野といえるでしょう。