アマチュアピアノ仲間同士でコンサート開いたりコンクールに出たりする機会が多いのですが、まずもってお互いにほめることはありません。
なぜでしょう。
ほめられれば普通うれしいし励みになるのに。
ピアノに限らず勉強でも仕事でも。
理由は単純です。
ほめるのが至難の技だからです。
正確に言えば、「正しくほめる」ことに極めて高度なものが多々要求されるからです。
要求されることとは:
- その1:その曲がどういう曲であるかを理解していること
- 事件簿:あれはピアノ再開して間もない頃、初めて出たコンクールで知り合いが演奏した後のこと、「名曲ですよね」と無邪気に言ったら「名曲だなんて言わないで!」とキレられる。
- 教訓:その曲が名曲であるとは言ってはならない。仮にそう言いたいたらその曲が名曲たる理由(なぜその作品は優れており時の試練に耐えたか)がその演奏でどう発揮されていたかを自分の言葉で伝える。
- その2:その人の実力、強みや弱みを理解していること
- 事件簿:「難しい曲ですよね」と言ったら「ぼくが弾いてはいけない曲ってことですよね」とスネ夫になってしまった。
- 教訓:これも言葉足らず。難しい曲に果敢に挑戦した演奏者の姿勢を尊重しつつ、たとえミスは多くともその曲の特に難しい箇所で比較的良く弾けている箇所について、難しいことの所以を把握した上で的確に評価しなければならない。
- その3:その曲にどういう目的で取り組んでいるかを理解していること
- 事件簿:特になし
- 教訓:したがって特になし
- 一般に、もしその曲をコンクールに向けて取り組んでいる可能性があるなら、頼まれない限りコメントしないのは鉄則。もしも自分がその曲を徹底的に研究しかつコンクールでも高い評価を得た曲だとしたら、あくまで参考情報として何が評価され何が減点されるかぐらいなら気配りした上で伝えてもいい。
もちろん、上の条件を満たさなくとも、心から感動したなら、別に策を弄することなく素直に自分の言葉でそれを伝えればよい。たとえ本人が自分の演奏に満足せず自己卑下自己否定したとしても。
しかし現実問題としてプロアマ問わず人の演奏に心から感動することなどそうあるものではない。
せっかく仲間なのだから、努力は讃え合いたい。
そしてそれが我々には欠けている。
自分が率先してこの状況を打開したい。