コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

テクノロジーは社会保障負担を下げる

いま日本で最も深刻な問題は財政破綻の可能性と安全保障です。

財政破綻の可能性は異次元金融緩和の出口が見えないことと社会保障負担の急増でいよいよ現実味を帯びるまで高まっています。

既に超高齢社会である日本を象徴する表現が2025年問題ですが、これは危険な表現です。あたかもあと8年猶予があるように聞こえます。

実際には、社会保障負担の大幅な抑制には期間としては短かすぎるのです。制度設計をし立法化し議決され施行し運用し効果が発現するのに早くとも5年はかかるでしょう。だとしてもその効果は焼け石に水かもしれませんし、そもそも(制度設計の内容にもよりますが)高齢者の負担増とサービス低下を旨とする制度(それ以外の旨が考えられるでしょうか)、現下の「シルバー民主主義」が議会での法案可決を妨げることは無いでしょうか。

では制度的な解決以外に何か方策はないでしょうか。

経済成長はどうでしょうか?支出を抑えられないのなら収入を増やすしかありません。税収と個人の所得(が上がれば自己負担増や突然の大病での失職などの影響も抑えられる)の大幅アップができればいいのですよね。しかし短期的に可能でしょうか。

ケインジアン的施策(公共事業)だとしたらその財源は?

きちんと効果推計しなければ結論は出せませんが、実際難しそうですね。個別の企業やサブセクターの成長ならともかく、400兆円のGDPに照らしてインパクトある(焼け石に水、ではなく)事業機会が、人口減少・超高齢国家にあるものでしょうか。

ではどうしたらよいでしょう。

個人レベルで民間で直ぐにできる疾病予防、介護予防です。

テクノロジーの出番です。

テクノロジーが我々にもたらしている恩恵のうち、社会保障負担軽減に最も大きなインパクトがあるのは何でしょうか。それは情報の質・量とアクセシビリティ向上による「賢くなる個人」の台頭です。

アメリカでは近年、薬を飲まない運動が消費者の間で広がっています。日本とは医療保険制度が違う(オバマケアの導入で被保険者は増えたものの実際には保険料が上がり、カバレッジも実は狭いという数字も出ていますね)のと、薬価が高いため、より消費者が医療に対して意識が高いということもありますが、実際のところ、現代のほとんどの(西洋医学の)薬というのは、完全に疾病のメカニズムを把握した上で高い有効性を高い安全性を発揮できているかというとそうは言えない薬ばかりなのです(99%の薬はミトコンドリアの活動を弱めるのでNGとまでいう医者もいるようです)。

薬が効かないどころか却って人間の心身を傷つける、害するようなものに高い金を払うぐらいなら、薬を飲まなくて済むように健康を管理するか、病気になっても薬に頼らずに済む方法(代替医療を含め)を模索するようになっているのが今の米国での消費者のトレンドで、これを助けるのがテクノロジーが可能にした、インターネット上での情報収集、選別です。

がん患者などは、未承認の薬の情報、あるいは臨床開発段階の候補物質の情報をネットで取得し、熱心に勉強して医師を問い詰めることもあるのですから、医師も不勉強ではいられません。

病気にならないという水準を超えた「すごく健康」な状態を維持するコンディショニングという概念がアスリートだけでなく一般の人にもテクノロジーによって実践可能になるという為末大さんの意見にも賛同します。

東大の合原先生の「動的ネットワークバイオマーカー」も、昔の中医学で言う未病から病への状態遷移を捉えられると期待されています。

さらに、医療介護費の高騰を招く認知症や糖尿病の薬に頼らない、医師に頼らない予防にも新たなテクノロジーの応用が次々に出現しています。

医療技術評価も進められています。これは医療の費用対効果を計測する試みで、過剰な医療を抑制するものですが、その為にはテクノロジーが欠かせません。