コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

コンサルタントに必要な業界知見

ぼくが文章を書いている目的はただ一つ、クライアントと話す或いはプレゼンするというアウトプットのためのインプットを自分に動機付けることとアウトプットの仮説を作ることです。

ヘルスケア領域は業界セグメントを区切っていくとディープニッチの集合体ですが、変化の方向性はいくつか共通するドライバーによって規定され、ダイナミックに変化します。したがって、ある特定のセグメントだけを見ていても、我々コンサルタントに必要な「物事を客観的に、相対的にみる」ことは不可能です。
また、特に医薬品、医療機器に従事する方々はしばしば「我々は規制業種だし特殊だ」と仰るのですが、確かに業界特有の部分はあります。ですが、どの業界にも程度の差こそあれ規制はあり、また業界内でしか通用しない言語があります。ですので、何が特殊であり何が特殊でないのかを理解し、その上でクライアントに示唆や提言を提示することこそが、第三者であるコンサルタントの付加価値の一つです。
業界知見は日々刻々と陳腐化しますので、必ずしも業界経験者が業界知見において優位とも限らず、また業界経験者の知見も領域が限定されておりかつ客観性が無いこともあります。先日あるファンドのヘルスケア担当パートナーと話している際、彼自身バイオベンチャーの経営に直接関与したこともありその領域においては大変詳しいのですが、少しその領域を外れると途端に明るくなかったりします。ヘルスケアといっても広いので、ファンドとしてもヘルスケアの領域のどこに投資機会があり、その投資機会は他の領域の機会に対してどう相対的に魅力的か或いはそうでないかを見極める必要があるため、一段視座を上げたディスカッションには意義があります。
ただし、まったく言葉も通じないようではそもそも議論のテーブルにつけないので、最新の動向に関して、アカデミックなことであっても少なくともそれが何を意味しているのかだけは常にアンテナを張ってキャッチし理解するように努めなければならないのです。
このように、コンサルタントに必要な業界知見とは、業界人が知っていることとそもそもイコールではなく、言葉として或いは概念として知っていることと、変化の方向性を領域横断的に見極めること、物事を客観的・相対的に把握することができること、と言えるでしょう。