昨年だったかNHKの白熱教室が数学の話題だったので珍しくみました。
ハーバードなんとかとかスタンフォードなんとか大学名で視聴率を取ろうという魂胆見え見えの同シリーズにはあまり好感を持てないのですが(自分が通ったミシガンだって専攻によっては全米トップクラスのものもあるのに)、この回はトピックがトピックだけに必見でした。
「数学の大統一」などと言われるとこれはこの本を手に取ってみないことには始まりません!
しかし和訳の質がとても気になるぼくとしては、原文(英文)ペーパーバックを速攻でAmazonで注文しました。
実はまだ半分しか読めていませんが、もともと数学には興味が無く、物理学にとても関心の強かったフレンケル先生の少年時代からの自伝がかなりの部分を占めているとはいえ、初学者にも群論がどういうものがを、ブレイド(組紐)理論などを図解して示してくれるのは大変わかりやすいです。
しかし、本質的には最先端の数学の話なので、いくらわかりやすく説明しようとしても限界があります。
最後にはこんな数式が出てきます。
降参です。
これをフレンケル先生は「愛の方程式(Formula of Love)と呼んでいます。
この日本語版のタイトルが「数学の大統一に挑む」とあるのは、原題が"Love and Math"なのにずいぶん飛躍していると思い(たぶん直訳で「愛と数学」では売れないと出版社は判断したのでしょう)、本当に「数学の大統一」なのか確認しました。
序文にこうあります:
"In this book, I will describe one of the biggest ideas to come out of mathematics in the last fifty years: the Langrands Program, considered by many as the Grand Unified Theory of mathematics. It's a fascinating theory that weaves a web of tantalizing connections between methematical fields that at first glance seem to be light years apart: algebra, geometry, number theory, analysis, and quantum physics"
(ぼくの和訳:本書では過去50年間で数学の世界に出現した最も大きなアイデアの一つであるラングランズ・プログラムについて述べます。これは多くの人が数学の大統一理論とみなしているものです。これは一見して互いに遠い関係にある代数、幾何、数論、解析、量子力学といった領域の間の素晴らしい関係を織り成す理論なのです)
具体的にどう織り成すかはこの本をまず理解し、その上でこのアイデアを構成する様々な定理や命題を理解しなければならない訳ですが、そのアイデアはワイルズ氏によるフェルマーの最終定理のアプローチとそれを可能にした非可換類体論と軌を一にするものではないかと思います(非可換類体論は目下鋭意勉強中であります)。
説明できるようになったら本件続編を投稿します!!