コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

クライバーン国際ピアノコンクール最終日

3週間、4ラウンドにわたり30名のコンテスタントの熱演が繰り広げられてきた第15回クライバーン国際ピアノコンクールもいよいよ今日が最終日です。

6名のコンテスタントが競うファイナルラウンド、きょうは昨日に引き続きピアノ協奏曲が3名とレナード・スラトキン指揮フォートワース交響楽団の共演で演奏されています。

昨日の3名についてはこちらの記事に書きました:

 

jimkbys471.hatenablog.com

 

今日の演奏者、演目と時間割は以下のとおりです:

日本時間午前5:00(現地時間6/10午後3:00)

RACHEL CHEUNG(香港、25歳):ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番作品58ト長調(BEETHOVEN Piano Concerto No. 4 in G Major, op. 58)

日本時間午前5:45(現地時間6/10午後3:45)
GEORGY TCHAIDZE(ロシア、28歳):プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番作品26ハ長調(PROKOFIEV Piano Concerto No. 3 in C Major, op. 26)

日本時間午前6:45(現地時間6/10午後4:45)
DANIEL HSU(アメリカ、19歳):
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番作品23変ロ短調TCHAIKOVSKY Piano Concerto No. 1 in B-flat Minor, op. 23)

 

本日のトップバッターは香港の25歳、ファイナルに勝ち残った中で唯一の女性であるRachel Cheungが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏しています。

この曲はぼくは中学2年のときに知り熱中した曲で、今でもベートーヴェンのピアノ協奏曲では最も好きな曲です。3番や5番「皇帝」ほどの華やかさは無いものの、じっくり語りかけてくる優しさに溢れた傑作です。

1楽章、Rachelはピアノソロをやさしく語りかける口調のように始め、決して流されることなく堂々とオーケストラと対話しています。

2楽章、前楽章とはうってかわって猛るオケで奏でられる序奏の後、たっぷりと間をとって宥めるような口調のピアノ、見事です。

終楽章である3楽章、堂々としかし優しさを一貫して忘れず弾き切りました。ブラボー!

 

次はロシアの28歳、Georgy Tchaidzeです。プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番です。この曲は前回の浜松国際ピアノコンクールでガゼブ君が弾いて優勝したことが記憶に新しいです。前回第14回クライバーン優勝者のホロデンコもこの曲を弾きました。

1楽章、大きなミスはないのですが、ほんのわずかですがオケとずれるのが気になってしまいました。ずれるというほどではないかもしれませんが、ぴったりと合わない箇所がいくつかあるのです。オケのテンポとチャイゼが求めるテンポあるいは両者の考えるアゴーギクが合わないのでしょう。

2楽章はピアノの美しい音色が良かった。彼のタッチはこの曲に合っている気がします。

3楽章はオケとの一体感があります。が、1楽章同様「ぴったり」とは合わないのがどうしても気になってしまいます。

しかしそうは言ってもかなり高い水準での話。彼の危なげないメカニック、にじみ出る自信、コンサートピアニストとしての活動準備ができていると感じます。

 

この瞬間、ファイナルは現地に聴きに行っているアメリカの友人もいてそれはそれでうらやましいのですが、ウェブキャストではコンテスタントのインタビューが視れるのでよいことです。RachelとGeorgyのインタビューを視ていて、二人とも"sincerity"(誠実さ)を口にしているのが印象的でした。音楽に対して誠実であること、これが最も大切であると。自分にもいま言い聞かせています。

 

さて、いよいよこの第15回クライバーン国際ピアノコンクール最後の演奏、大トリを飾るのは個人的にも応援しているアメリカのDaniel Hsuチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾きます。クライバーン自身も好んで演奏した曲です。

オケの短い序奏に続き、堂々たるオクターブ和音がオケの勇壮な旋律を伴奏するセクション、見事です。Danielはその後も抒情たっぷりにピアノを十分に鳴らしています。色彩・表情の変化も明瞭です。余裕もあります。しかしらしくないミスタッチが少なからず出ており、これが審査にどう影響するかが若干気になります。2楽章、3楽章は尻上がりによかったですが。

ロシアの2人(ファボーリンとチャイゼ)や韓国のサンウ、アメリカのブロバーグと較べると、ダニエルは線が細い感じがしてしまいます。知的な演奏ではあると思うのですが、チャイコフスキーという選曲が彼の良さを引き出す選曲かというと疑問に思えてしまいます。

 

審査結果発表まで1時間以上あるので朝食をとってピアノの練習再開です。

日本時間で9:00にAward Ceremony(授賞式)が始まりましたが、コンクールの授賞式は開催者のスピーチや関係者への謝辞が30分は続きます。

 

さていよいよ受賞者の発表です。

審査員特別賞(Jury Discretionary Awards)は賞金4千ドル

  • 韓国のDasol Kim(セミファイナリスト)
  • イタリアのLeonard Pierdomenico(セミファイナリスト)
  • カナダのTony Yike Yang(セミファイナリスト)

いずれも納得です!

 

次に、委嘱曲の演奏に対する表彰(Beverly Taylor Smith Award for the Best Performance of a New Work)は賞金5千ドル

  • アメリカのDaniel Hsu(やたっ!)

 

次に、室内楽の演奏に対する表彰(Steven De Groote Memorial Award for the Best Performance of Chamber Music)は賞金6千ドル

  • アメリカのDaniel Hsu(やたっ!すごい!)

 

次に聴衆賞(Audience Award)は2,500ドル

  • 香港のRachel Cheung(納得!)

 

いよいよ上位入賞者の発表です。この結果はファイナルだけではなく、予選(Preliminary round)からのすべての演奏が審査対象となります。また各受賞者には3年間のコンサートマネジメント

 

第3位(Bronze Medal): アメリカのDaniel Hsu(これは大方の予想を裏切っていますがぼくはうれしい!)

第2位(Silver Medal): アメリカのKenneth Broberg(順当ですね、アメリカ人ファイナリスト2人とも入賞!)

そして

第1位(Gold Medal): 韓国のYekwon Sunwoo(予想あたった!!)

 

本当に素晴らしいコンクールでした!感動をありがとう!!