コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

日本の製薬産業の取るべき道は3つ(その4)

前回(その3)では戦略方向性の2つ目、「コスト・リーダー・プレイ」について書きました。今回は3つ目、名付けて「中分子レイヤーマスター」です。

台頭する可能性のある中分子医薬であるペプチドや次世代抗体医薬、核酸医薬の疾病領域や基盤技術を含めた国として注力すべき分野の特定と企業間連携を促進する仕組・制度の構築、です。

ペプチド医薬は抗体医薬等の高分子よりも分子量が少ないので中分子と言われるものの代表格となっていますが、これに関しては日本の(数少ないうまくいっている)バイオベンチャーであるペプチドリームが先頭を切り、また塩野義製薬積水化学・ペプチドリーム等が連携してペプチド医薬品製造受託を指向すると報じられました。

また、もう一つの中分子医薬のカテゴリーである核酸医薬については、「グローバル・ニッチ・トップ」を掲げる日東電工がAvecia社とGirindus社を買収して事業プラットフォームを構築、味の素も数年間検討の後に(これには筆者もコンサルとして関わっていました)Althea社を買収するなど、機運は高まっています。

民間でのこのような取組もあるのですが、国として産業育成することも必須です(決して足を引っ張らないように)。

民間のこのような仕組を後押しする役割も(単なるコンソーシアムで終わらぬよう)国が果たすべきです。

再生医療においては逸早く(欧米に先駆け)法整備をしたものの、米国も負けてはいません。

未だ日本で再生医療の治験はほとんど行なわれておらず、このままでは再生医療でも「敗戦」の憂き目を見てしまいます。そうならないことを期待したいのですが、その対象はまさに中分子医薬です。

決して中分子医薬のバリューチェーンをすべて持つインテグレーターになる必要はなく、中分子の医薬品への応用と生産において確固たる強みを構築して他を圧倒的に引き離すレイヤーマスターになる戦略は、日本企業の文化の面でもフィットしていると思います。

ぜひ日本プレイヤーに勝っていただきたい。そしてその為に自分ができることをやっていきたいと思います。