コンサルタント=ピアニストはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストが仕事術とピアノと減量と英語と沖縄とかについて語ります

動的ネットワークバイオマーカー ~将来あるべきヘルスケアを支える技術~

まことに手前味噌ながら500投稿目です。今回は将来有るべきヘルスケアを支える技術として長期的に大いに期待すべき技術について書きたいと思います。

一昨年、数理シミュレーションシステムに強みを有する㈱構造計画研究所のご招待で、同社主催のセミナー「KKE Vision 2015」に参加しました。

その際、数理モデルの第一人者の一人である東大の合原一幸教授の基調講演を聞き、いくつか刮目すべきアイデアが披露され興味を抱きました。

そのうち、地震予知から感染症対策まで様々な分野における最先端の数理モデル応用による効果のうち、動的ネットワークバイオマーカーに大きな期待を感じたので、今回はこれをイノベーション(予備軍)として取り上げたいとおもいます。

 

動的ネットワークバイオマーカー(Dynamic Network Biomarker, DNB)とは、中国古代の医療の基本思想である「未病」の概念を、最先端の科学で実現しようという試みです。

現在の診断では、明らかに一つあるいは少数の指標が異常値を示した場合、それを以て疾病と診断します。

しかし、これは既に「未病」の状態から完全に「病」の状態へ移行してしまった状態であり、既に治療可能な状態を超えている場合もあります。

また、従前より唱えられている予防医学は、未病から病に移行する遥か以前の段階に維持しようというもので、これも効率的とはとても言えません。

DNBは、より望ましい身体の状況に関する様々な多数の指標のビッグ・データを、その変動特性の観点から数学的に分析することで、未病状態の診断そして病気の状態への発病の引き金を引く因子群をみつけることが出来るというものです。

一般には、複数のバイオマーカーから成るネットワークとしてのゆらぎが、発病の引き金を引きます。つまり、発病するということは特定の指標だけが変化して後はすべて不変、ということではなく、互いに相関する、或いは相反する多数の有意義な指標全体の変化とそれらの関係から、どう未病から病への閾値を超えたかを、合理的・定量的に判断するものです。

これは数理工学の進歩とビッグ・データを収集・解析する一連の技術の実用化によって初めて可能になったことで、長期的には根本から医療を変える可能性を秘めています。

この理論は複雑なシステムの挙動、すなわちたとえば経済予測や地震予知にも応用されつつあります。

かつては大量のデータを扱うことは原理的には可能でも実際には処理時間とコストの面で非現実的であり、バイオマーカーも特異性が低くかつ種類も乏しいなど、動的ネットワークバイオマーカーがとても実践できる状況ではなかったものが、技術的にも経済的にもmake senseする可能性が見えてきています。そして、財政面からもまた個人・社会の意識の向上といった側面からもその必要性が認められ得る状況になってきているとおもいます。