コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

本番準備はゴール思考と状態シミュレーションで

今週末は重要な本番、難関コンクールの予選があります。ピアノです。

マチュア限定のコンクールではないので、音楽の専門教育を受けた人、中にはプロのピアニストもいらっしゃいます。

コンクールに限らず公開演奏は緊張してしまうものですが、「あがって」しまってはいけません。適度の緊張感は良い演奏のためには必要なのです。一方、あがるとは極度の緊張と興奮(動悸がひどいなど)で身体が思い通りにならなくなることなので危険です。

ではどうすれば適度の緊張感をもって本番で良い演奏ができるでしょうか。

以前に師事していた先生がヨーロッパ留学時代、コンクールで良い演奏ができたとき、その評価は「よく準備しましたね」だったそうです。

そもそも、ピアノの演奏とは高度に知的・音楽的・身体的な統合作業ですから、十分な準備なくしてできるものではありません。

ましてコンクールともなれば、音大の先生やプロのコンサートピアニスト、音楽評論家や作曲家など、音楽を熟知し、耳が肥えたなどというレベルを超えた方々が、耳を澄まして厳しく審査するのですから、それに応える演奏をするというのは並大抵のことではありません。

本番前にやるべき準備とは、ピアノに向かってやる練習とピアノから離れてやることの2とおりあります。

ピアノに向かってやる練習は、とにかく普段以上にディテールに神経を集中し、あいまいな音や乱暴な無造作な音が決して出ることがないよう、そのために音楽の理解と身体的な運動の自然さを確認することです。本番で緊張し身体に力が入るとどうしても響きが堅くなったり、デュナーミクに乏しい平板な演奏になってしまったりします。これは必ず減点されます。したがって、特に手首、肘、肩に余分な力が入ったり固くなったりしないよう、少しでも無理をしている箇所はないか、チェックすることが必要です。

一曲を想定するテンポで何度も繰り返すような練習は時間の無駄です。片手ずつでも(特に苦手な方の手、多くの人は左手ですね)、あるいは一声ずつでも、数小節単位でも、分解して優先順位をつけて練習することです。また、本番で弾く想定より一段階弱い音量で、たとえばmfで弾くところであればpで弾くなどするとコントロールがより求められるので練習としては効果的です。

ピアノを離れてやる作業の一つは、楽譜の確認です。音の読み間違いはないかはもちろん、表意記号や楽曲の構成、フレーズなどです。フレージングは特に重要です。

もう一つは、本番で自分が弾いている状態をイメージすることです。コンクールで通過する結果のイメージではなく、プロセスのイメージです。自然な呼吸で身体はリラックスしつつも耳は研ぎ澄まされ、ホール内の空間に伸びていく音響を聴きつつ、一瞬一瞬に集中して演奏している自分の姿です。指先や指の動きに集中するのではなく、音響に集中している状態です。音楽の流れを感じ、決して流れは途切れることなく、無理な動きの一つもなく、堂々と演奏しています。結果など気にせず、多少のミスタッチなどにとらわれず、自分の音楽を創り出し、審査員含め弾く人を自分の音楽世界に引き込んでいるのです。ピアノもホールも聴衆も自分の演奏の間はすべて自分が支配している状態です。

何百回と本番を経験していますが、このような考え方に至り、明文化しているのは今回が初めてです。

結果を怖れて練習に駆り立てられるのではなく、イメージどおりいい演奏ができる喜びに導かれて準備したいとおもいます。