コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

活性酸素は悪者なのか?

活性酸素は、身体を錆びさせる、老化を促進する、がんになるなどともっともらしく喧伝されているのですっかり「活性酸素=悪者」という認識が一般的には定着している(洗脳している)かもしれませんが、本来活性酸素は生命活動において自然に発生しているものでもあり、また不可欠なものでもあります。
そもそも人間が生きていくにはエネルギーが必要であり、エネルギーを産出し消費しますが、消費する際に酸素を利用します。

呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は、通常の状態でも不完全に還元され、活性酸素フリーラジカルになります。

ここで注意しなければならないのは活性酸素フリーラジカル(対になっていない電子すなわち不対電子を持ち、他の分子から電子を奪い取ろうとする力を有する分子)はイコールではなくまた包含関係にある訳でもありません。活性酸素フリーラジカルの部分集合である訳でもなく、活性酸素の中にはフリーラジカルでないものもあります。

人間の体内で生成される活性酸素には4種類あり、それらはスーパーオキシド、ヒドロオキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素ですが、フリーラジカルに該当するのは前者2つです。
人間を含む哺乳類においては、摂取した酸素の数%が活性酸素に変化すると考えられています。

これら活性酸素フリーラジカルの多くは寿命が短いのですが、その寿命においてさまざまな体の成分と反応し代謝を制御する一方で、過剰に生じたものは細胞傷害をもたらします。

巷で活性酸素が言及される場合にはこの細胞障害が取り上げられる場合がほとんど全てなので、活性酸素=悪者という図式ができあがっているようです。

しかし、活性酸素は我々にとって必要なものでもあります。

例えば、免疫を司る代表選手である白血球は、活性酸素であるスーパーオキシド・過酸化水素などの作用によって感染防御の重要な役割を果たしています。

さまざまな生理機能をもつ一酸化窒素は、血管を弛緩させ末梢の血流を確保する役割ももちます。その他、シグナル伝達・排卵・受精・細胞の分化・アポトーシスなど、生理活性因子として利用されていることがわかっています。

健康に関する情報は玉石混淆どころか多分に発信する側の意図(健康食品や医薬品のマーケティングが最たるものですが)によって歪められ偏ったものになっており、また必ずしも解明されていないことであっても断片的な「エビデンス」によってさもそれが真実のように扱われていることもあります(「医師監修」とあってもです)。

客観的に捉える視点とそれに基づく能動的な情報収集が必要な好例として、今回は活性酸素を取り上げました。