コンサルタント=ピアニストはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストが仕事術とピアノと減量と英語と沖縄とかについて語ります

フレイルとサルコペニア~健康長寿社会はどうしたら実現できるのかについて考えてみた

目下、健康寿命を如何に延ばすかということをテーマとして考えているのですが、健康寿命を短くするものの一つとして、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)は聞かれたことがある方が多いかと思います。通称ロコモとも呼ばれたりしますが、骨や関節、筋肉が衰えることによって、立ち上がったり歩いたりすることに支障をきたしている状態の総称で、これが進行すると寝たきりなど要介護状態になってしまいます。

 

このロコモティブ・シンドロームと似た概念にフレイルとサルコペニアがあります。

まず、フレイルとは、2014年あたりから新たに使われるようになった言葉です。老年医学の分野ではもともと英語のfrailtyが「要介護状態になる前の高齢者の虚弱」を意味する用語として使われてきたのですが、「老化」でもなくまた単なる「虚弱」とも違うのでなかなか適訳がなく、またもや新たなカタカナ語の出現となりました。

カタカナか否かはともかく、フレイルが意味する状態を正しく認識することが、高齢者の医療・介護を前進させるというのが、フレイルという言葉を提唱した日本老年医学会の主張であり、それを読むともっともだとおもいます。

学会によると、フレイルの状態の人は要介護状態に至る危険性が高いのみならず、生命予後が悪く、入院のリスクが高く、転倒する可能性も高く、さらに複数の疾患を持ち、複数の薬剤を内服している方が多い傾向にあるということなので、医療経済的な観点からも、既に高額の医療費がかかっているのがさらに高額になる可能性が高いセグメントをどうするか、という打ち手の重要性を示唆します。

フレイルの状態は身体的側面と精神・心理的側面の双方で判断されますが、身体的側面では、体重の急激な減少、疲れやすさ、活動量低下、歩行速度低下、筋力低下の5つのポイントで評価するのが現時点の案のようです。フレイルに陥る負の循環の重要な要因に低栄養があり、このため最近は高齢者に対しては従前の肥満予防、血圧上昇抑制のための食事ではなく、高栄養が重視されるようになっているようです。

 

一方、サルコペニア(sarcopenia;語源はギリシア語の「筋肉の減少」)は、「進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群」と定義されています。難しい定義ですが要は筋肉が減って調子悪くなるということですね。

筋肉が減るということは単に筋力が弱るということには到底とどまりません。筋肉が減って筋力が弱れば骨も弱くなりますし、大腿筋のような大きな筋肉はグリコーゲンを大きく消費し代謝に貢献する訳ですから、これが減ることで糖尿病や循環器疾患の発症・増悪のリスクも高まります。筋力が弱まって骨が弱くなれば高齢者の寝たきり状態への移行の主因である転倒のリスクも高まります。寝たきりに至らなくとも骨折し安静にしていればますます筋量も減り骨も弱まり、動くのが億劫になり・・・という悪循環に陥り、「廃用症候群」という、ちょっと風邪で寝込んだだけでも寝たきりになってしまうという、その名を聞くも恐ろしい病気(?)になってしまいます。

対策はフレイルと同じですが、サルコペニアは40代から、いや最近は若者の運動量・活動量が低下しているので既に10代から始まっているとも言われています。気をつけないといけません。

 

脳もそうですが、人間は使われない臓器は「ああいらないんだな」と判断してがんばって機能を維持しようとしなくなるようですね。

高齢の方でなくても、若くても使わなければ衰えます。たとえば、宇宙飛行士がいい例です。短期間の無重力状態の滞在でも、地球に帰還したときに車椅子を使っていた映像を見たことがある方もいらっしゃるでしょう。身体能力が高く若い宇宙飛行士ですらそうなってしまうのです。いわんや一般人や高齢の方はなおさらですね。

過度な運動はもちろん毒ですが、現代人はむしろ運動不足気味なのですから、意識して歩く、動くようにしなければなりません。

とはいってもなかなかそれが難しいのも現実ですね。都会に住み或いは通勤している人は否が応でも歩かなければならないし、逆に歩く距離で日常の用事が完結してしまうのでよいのですが、そうでないところに生活圏があり、車無しでは生活が成立しない場合はなかなか歩くといっても難しいですね。安全でない場合もありますし、歩こうにも距離があり過ぎて歩けないということもあるでしょう。

なんとかこの問題を解決したいと思っています。

この問題意識はもう10年以上前から持っておられる方がおられ、たとえば筑波大学の久野先生は大学発ベンチャー「つくばウェルネスリサーチ」を立ち上げ、"Walkable City"の推進に取り組んでおられます。

www.twr.jp

 

国交省が提唱した「コンパクト・シティ」も発想の原点は共通のものがあるとは思うのですが、各地の自治体で実践されてはいるものの、残念ながら成功したという例は聞きません。買い物、行政サービス、医療や介護の充実を図るために面密度を高めるというのはいいのですが、そう簡単に引っ越せないですからね。農家の方は自分の農地を捨てる訳にもいかないですし。

 

やはり根本は「歩いて用が足りる」以前に、「普通に歩ける、運動できる」ことを含めて身体的に自立している状態を如何に維持するかですね。動けなくなると引きこもりがちになりますし、そうなると人付き合いも少なくなり、刺激が少なくなりますから認知症等の発症・進行にも寄与してしまうでしょうし(おそらく)。

町ぐるみでお年寄りを元気にするプロジェクトを推進している自治体もあるようですが、寡聞につき未だ目覚ましい成功を遂げた事例は知りません。

また、米国で成功したCCRCという構想を日本版CCRCとして進める動きもあるようです。

地方創生のエンジン「日本版CCRC」の可能性 | プラチナ社会研究会

これは2015年の記事ですが、その後どうなっているんでしょうね。

いずれにしても来月から本格的に研究会を立ち上げて検討するので、いろいろな方からお話を聞きつつ、実効性のある施策を打ち出すべくがんばります。