コンサルタント=ピアニストはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストが仕事術とピアノと減量と英語と沖縄とかについて語ります

変わりゆく福祉国家

北欧諸国、特にスウェーデン王国は、日本でも高福祉国家としてかつてより認識されており、政府や厚労省社会保障制度のモデルとしても頻繁にとりあげられる国です。

そのスウェーデン社会福祉に転機が訪れています。

著名な外交専門誌であるForeign Affairsの2015年5月19日付の記事、”Stockholm Syndrome – How Immigrants are Changing Sweden’s Welfare State”には、そのタイトルどおり、同国の社会福祉がいま転換点を迎えていることを端的に記述しています。

かつて、医療、年金、教育あらゆる面で世界でもっとも充実した公共サービスを提供し、失業率もほぼゼロであった1970年代のスウェーデンは、欧州諸国の中でも国外からの移住者に対して最も寛容な(例えばシリア難民に一時滞在許可のみならず永住許可を与える策を他国に先駆け採択した)政策をとってきています。

このため、今では実質的には米国やカナダと同様の多民族国家となっているスウェーデンですが、まだ国としてのアイデンティティはかつての同質なものに留まっており、これが移民や、昨今欧州では(経済危機と並び)最大の共通課題である難民問題に対する政治的スタンスと、かつてユートピアとも評された(今でも相対的にはそうかもしれませんが)国家システムへの負の影響の抑制をどうマネージするかにとって重要な問題であるForeign Affairsは述べています。

2008年のリーマンショック、そしていま25歳以下の失業率が約23%と高く、治安も悪化した(と国民は認識している)現状において、これらの問題を流入速度が増している移民・難民に帰着させる方向に国民の意識は向かっているようであり、その結果排外主義を掲げるスウェーデン民主党の支持率は上がっているそうです。

しかしそれでも、翻って日本の危機的な年金制度(一向に本質的な改革が進まない)からみれば、学ぶことは多々あるのは事実です。言うまでもなく日本の年金制度は依然として受給者である高齢者にとって手厚い状態が続いており、給付率のマクロスライドを適切に行わなければますます勤労者の負担は重く将来の給付が危ぶまれることは明らかであるのに、政府も厚労省も問題の先送りを続けており、それが「政治的な配慮」によるものである状況は変わっていません。この「政治的配慮」が年金制度改革を阻害することに対して、スウェーデンはそれを十分に認識して手を打っていた点において、一日の長があると言えるでしょう。