コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

コンクールで出会ったすばらしいピアニスト

昨日(8/8)は仕事のついでにコンクールを聴きに行きました。

ほとんど毎年のように時間を作って足を運んでいる、ピティナ・ピアノコンペティションG級2次です。会場は西武池袋線大泉学園駅に直結する練馬区の施設、ゆめりあホールです。

仕事の都合で火曜日の朝と夕方しか聴けなかったのですが、幸運なことに何名かすばらしい演奏をライブで聴くことができました。

その日聴いた約10名のうち、鮮烈な印象が残っているのか、愛知県の高校1年生、亀井聖矢くんの演奏でした。

このG級というのは年齢制限があって、ピティナは日本最大のコンペティションを運営しており、G級は特級に次ぐ最もハイレベルの級なのですが、年齢制限が無い特級に対し、G級は26歳までと決められています。

しかし実際にはほとんどが高校生か大学生で、中には若干名ですが中学生もいます。そして、全国決勝大会で過去に高校生が何度も金賞(優勝ですね)を獲得しています。G級金賞受賞者で最も有名なピアニストが、今をときめく阪田知樹くんですね。彼がこのゆめりあホールでG級2次に出場し全国決勝進出を果たしたときも聴いており、彼と親御さんに「すばらしかったです」と声をかけた記憶があります。

亀井くんの演奏曲目は:

いずれも難曲中の難曲です。

G級の2次では20分以内のプログラムが求められています。

バッハは極めて高い完成度で安定した演奏がコンクールの舞台では求められます。自分も今年2回コンクールの舞台で平均律を弾いていますし、その難しさは身に沁みているのですが、このG級2次という舞台の1曲目で堂々たる演奏、立体的で緻密かつ響き豊かな演奏で、前後のコンテスタントとは一線を画す演奏でした。ただし、バッハの演奏については審査員の評価基準が特に割れるので、ある審査員に評価が高い演奏が他の審査員からすると「認められない」演奏であったりするので難しいです。バッハで加点は狙いにくいのです。しかしいずれにせよ個人的には引き込まれる説得力あるバッハでした。

ラベルのトッカータは実はラベルのピアノ曲で難曲として呼び声高いスカルボより実は難しいのです。自分はどちらも弾いたことがあるのですが、クープランの墓の様式感を表現することがメカニカルな困難さに加わるので大変な曲です。ノーミスで弾くことが至難なこの曲の亀井くんの演奏は完璧でした。

3曲目はブラームスピアノ曲中、いや全ピアノ曲中でも最も難しいとされるパガニーニの主題による変奏曲(通称パガバリ)の第2巻です。この曲は国際コンクールでもコンテスタントが実力を披露するために選曲するshow pieceなのでよく聴いていますが、もし録音だけ聴いて、国際コンクールの入賞者の演奏と言われても判らないと言っても過言でない完璧でパワフルな演奏でした。変奏曲としての性格の引き分けも明確でした。

今年に限らずこれまでG級2次を聴いてきた中でも、いや特級の2次(先週聴いてきました)と較べても、最も良い演奏の一つだったと思いました。

今回は仕事の都合で全体の1/4も聴けなかったので何とも言えませんが、これは全国決勝進出を疑わない演奏でした。

コンクールの結果は実力だけではまったく決まりません。審査員に委ねられるものです。そして結果は残念ながら全国決勝進出はならず、本選奨励賞でした。

さぞかし悔しかったことでしょう。想像に難くありません。すばらしい演奏でしたし、本人の手ごたえもあったことでしょう。

コンクールの結果はともかく、彼はすばらしいピアニストであることは間違いありません。陳腐な表現ですが、今回の結果をバネにさらに高く飛躍してくれることを期待し、また信じています。これからも応援したいとおもいます。