コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

日本音楽コンクール ピアノ部門 第3予選

きのうは有給休暇を取得して、音コンピアノ部門3次予選を聴きにトッパンホールに来ました。

1次予選、2次予選共にほんの一部しか聴いていないのと、同じ門下の人や、1次予選、2次予選で期待した人がいることもあり、全部聴くつもりで来ました(3人聴いてよほど期待はずれだったら帰ろうかとも思いましたが)。

1次予選参加者は219名、ここから2次予選に進んだのが47名、そこから9名がきょうの3次予選に臨みました。本選に進むのは4名です。

 

3次予選出場9名の演奏順と演奏曲目は以下のとおり(冒頭の数字は1次予選の演奏順=参加者番号です):

 

173 安並 貴史(やすなみたかし、男性、東京音楽大学大学院修了) ハイドン:ピアノ・ソナタ第32番ト短調Hob. XVI:44/リスト:ソナタロ短調

174 尾城 杏奈(おじろあんな、女性、東京藝術大学1年) ハイドン:ピアノ・ソナタ第55番変ロ長調Hob. XVI:41/ショパン前奏曲集 作品28

187 吉見 友貴(よしみゆうき、男性、桐朋学園高2年) バッハ:平均律1巻22番BWV867変ロ短調/リスト:ソナタロ短調

215 原嶋 唯(はらしまゆい、女性、桐朋学園大学大学院音楽研究科1年) モーツァルトグルックの歌劇「メッカ巡礼」の主題による変奏曲/シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番D958ハ短調

11 鐡 百合奈(てつゆりな、女性、東京藝術大学大学院修士2年) モーツァルトグルックの歌劇「メッカ巡礼」の主題による変奏曲/シューマン:ピアノ・ソナタ第3番(グランド・ソナタ)作品14 ヘ短調

119 梅﨑 秀(うめざきしゅう、男性、桐朋学園大学2年) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調「熱情」/リスト:巡礼の年第3年『イタリア』より「ダンテを読みて」

122 小井土 文哉(こいどふみや、男性、桐朋学園大学4年) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番作品110/ブラームス:4つの小品作品119

147 本間 里衣奈(ほんまりいな、女性、桐朋学園大学4年) バッハ:トッカータBWV/フランク:グランド・カプリス1番作品5/フランク:コラール、プレリュードとフーガ ロ短調

171 金 ジャンミッシェル(男性、パリ国立高等音楽院) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番作品111/リスト:巡礼の年第3年『イタリア』より「ダンテを読みて」

 

結局、少し仕事で抜けたため聴けなかった梅崎さんと小井土さんの1曲目を除き、今回はほとんど聴くことができました。

審査はあくまでも審査員の仕事なので本選進出者予想等はしませんが、あくまでも審査基準を想定しつつ聴いた上で「これは通るな」と思ったのは3名。原嶋さん、鐡さん、小井土さんです。

原嶋さんのシューベルトはこの曲に現れる空恐ろしい、長調に転調した途端奈落の底に落とされるような恐怖感、和声の変化に応じた見事な色彩の変化など細部まで緻密に練られたのみならず、演奏者ご本人の個性も活きていると思いました。モーツァルトとの曲想の対照も良かったです。

鐡さんのシューマンは先日の特級ファイナルでも弾かれた曲ですが、このロマン派ソナタの中でもおそらく3本の指に入るであろう難曲(個人の感想です)を見事にきっちり設計し計算していながらも情感豊かに演奏されていました。どうしても流されて拍感が失われたり、構成がわかりにくくなってしまう曲ですが、そうならない設計とコントロールはさすがです。モーツァルトも素晴らしかったです。

小井土さんのブラームスは、ベートーヴェンで弦が切れるアクシデントで中断の後とは思えない(いい気分転換になったのかも)落ち着いた堂々とした演奏で、4曲の(とても小品ではないですが)性格の鮮やかなコントラストが明らかで、1曲目冒頭の芯の通ったピアニッシモから終曲のラプソディーの重厚さ・力強さまで、表現の幅の広さを十分にアピールした演奏でした。ベト31も聴きたかったなー。

 

そして結果は演奏終了後数時間で毎日新聞から発表されました:

毎日クラシック 公式ブログ

 

吉見さん、原嶋さん、鐡さん、小井土さん本選進出おめでとうございます!!!

 

10/21(土)のオペラシティでのコンチェルト選曲が楽しみです。

 

なお、きょうの第3予選の演奏は10/3にNHK-FMで放送されるそうです。