コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパン練習曲作品25第12番「大洋」

昨年からじっくり取り組んでいるショパンエチュード作品25の第5番と並行して、最近は25の6番(三度のエチュード)と25の12番(大洋、Ocean)を練習しています。

作品25の12番は、エチュードの中では比較的易しい曲とみなされていますが、ショパンのことですから、決して易しい曲などではありません。

全曲は4分の4拍子、83小節から成ります。速度指定は二分音符=80とありますが、これでは速すぎます。これで演奏するとちょうど2分ぐらいになってしまいます。

音源はたとえばホロヴィッツのような往年の名ピアニストの演奏が好きです。

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ホロヴィッツはかなり速く弾いていますがそれでも2分30秒ほどです。ですので、速度は指定より遅い60ほどですね。

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この曲は画像のように全曲をとおして両手とも上行下行するアルペジオの繰り返しで、聴くものにとっても弾くものにとっても非常に判り易いシンプルな作りです。

この曲の難しさの一つは、このようにシンプルな構造と繰り返される音型が決して一つ一つが小さなうねりとなりながらも、調性の変化、そして曲の大きな3部形式の構造という波長も振幅も違う大きなうねりを前面に出しストーリーを明確にすることにあります。

特に中間部31小節目から46小節目にかけての息の長いクレッシェンドの方向性を明確に緊張感を高めていくところはとても重要です。

ショパンエチュードの楽譜は昔からコルトー版を使っています。

ルフレッド・コルトーが全曲に曲の演奏上のポイントを細かく記してくれていることがその理由です。

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 ここの下線はぼくが弾いたものですが、小節の頭の音が主旋律を構成しているのですが、コルトー先生がおっしゃっているのは、この音ばかり強調して他をおろそかにしてはいけない、ということです。常に密度の高い響きを作るように一つ一つの音を基本的には均等に鳴らすということです。これにより輝かしい、広音域にわたる倍音の響きが得られます。

練習はいきなり両手で弾くのではなく、特に左手が右手の足を引っ張ることのないよう、片手ずつ練習するのがよいでしょう。速度は1/2程度に落として確実な移動と打鍵と均等な響きをよく聴きながら自然にできるようになるまでじっくりさらうことです。

それができるようになったら両手で、主旋律が明確になるように、かつ調性の変化に応じて色彩の変化を十分につけられるようにすることです。

そしてデュナーミクの変化も曲想に応じて十分につけられるようにならねばなりません。

ただただ激しく弾けばよいというものではなく、中間部の初めのAs durのやさしさ、温かさもとても重要ですね。