コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

立ち読み:バーチャル・エンジニアリング ~周回遅れする日本のものづくり~

今月から本格的に日本の製造業を改革する取組を始めたので、同僚のプロたちに日本の製造業の現場の話を毎日聞いています。

その話の中には日本を代表する製造業各社のエピソードが至る所に出てくるのですが、自分もこれまで製造業各社のコンサルティングを手掛けてきてはいるものの、実際の現場で何が起きているかを詳細にみることはほとんどなかったので、特にこの10年ぐらいで起きていること、特に欧米や中国で成功している、あるいは飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びているメーカーの話を聞き、それらのメーカーの取組と日本のメーカーの取組の差に愕然とします。

それを説明するキーワード(のひとつ)がバーチャル・エンジニアリング(virtual engineering)です。

同僚から聞いている話では、欧州のメーカーの例で、開発の80%はすべてコンピュータ上で進められ、しかも製品の3Dデータ(CAD)がメーカー内のすべての関連部門(設計、生産技術、製造など)でリアルタイムで共有されるのみならず、場合によってはサプライヤーとも共有されるため、手戻りもなく、また次工程の準備も工程の進捗を予測して進められるためロスタイムもなくなるというものです。

最近こんな本が出ています:

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本田技研におられた方が書いているので自動車の話になっていますが、同僚の話を聞く限りこれはどの製造業セクターにも共通した話のようです。

そして、バーチャル・エンジニアリングが進む欧米と日本の彼我の差はこうしている間にもどんどん開いていく。周回遅れが2周、3周遅れになり、もはやまったく勝負にならない状況になってしまう、そのような強烈な危機感を覚えます。

日本でバーチャル・エンジニアリング、設計・開発・製造工程のデジタル化が進まないのは従来日本の製造業が得意としたきた「すり合わせ」にあるようです。これはまさに成功の負の遺産に他なりません。

しかしすべての日本企業がそうだということではなく、中には健全な危機感を抱き(一部ではなく会社全体として)、真剣に本格的にデジタイゼーションに取り組むところはある筈です。そしてそのような会社を支援していきたいと思っています。

 

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