コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

スマート農業をhypeにしてはならない

ここ1年、にわかに「スマート農業」が脚光を浴びており、日本のみならず米国でも欧州各国でも様々な取組が進められており、市場の動向を読み経営を指南する立場としても大いに着目している。

実際にスマート農業を手掛けている方々とも話をし、実際に農業を行なう現場もみている。

海外では、スマート農業とは言わず、意味は異なるがvertical farmingとかurban farmingと呼んでいることが多い。それは都市もしくは都市近郊で地産地消もしくはそれに近い形で安定的に青果を生産する、しかもvertical farming(垂直農法)であれば文字通り垂直方向に空間を有効活用できるという利点も注目され取組が増えている重要な要因である。

たとえばスウェーデンのPlantagonという企業は、超高層ビルの全面を垂直農場にするというアイデアを実現している。

www.plantagon.com

この高層ビルがオフィスであるにしても住宅であるにしても、単に美観に優れるだけでなく、居住空間としても快適ではないだろうか。Plantagonのコンセプトはビル内の排熱や排気中のCO2、そしてビル内の有機廃棄物も栽培に用いる(リサイクル)するものである。

別の例では、これも屋内でのvertical farmingを手掛ける米国のベンチャーPlenty社にソフトバンクが出資したというニュースがあった。

www.sbbit.jp

 

また、これは半年ほどまえのForbesの記事だが、注目の「アグリテック」スタートアップ25社が取り上げられており、それぞれが異なる技術や手法で農業の革新にアプローチしていることがわかる。

www.forbes.com

 

食の安全の問題は農薬や化学肥料、添加物にとどまらず、従来の農業のあり方そのものを見直すことをますます迫っている。これに加えて、昨今の異常気象が以上であることが正常化するような形にもなっており、消費者にとってみればそれに起因する野菜価格の乱高下は家計面で深刻な問題ですらある。

スマート農業で、従来の常識にとらわれることなく、安定的に(これは価格の抑制にもつながる)安全な食品を生産することができるのであれば、それは当に先進国、新興国を問わず、決して誇張ではなく人類を豊かにする手段として看過すべきものではないと思う。