コンサルタント=ピアニストはきょうも語る

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【読書メモ】不可能性の物理学

未来学者(futurist)には様々な人がいて、単なるほら吹きのようなのもいるが(それはそれで発想は面白かったりする)、カク・ミチオ先生は信頼している。

なぜカタカナかというとカク先生はアメリカ生まれアメリカ育ちのアメリカ人だから。お父様は日本人。

カク先生が2008年に著したPhysics of the Impossibleはテクノロジーを哲学するならお勧めである。

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この本は和訳されていており、その題名は「サイエンス・インポッシブル:SF世界は実現可能か」となっているが、はっきり言ってイケてない。「不可能性の物理学」とそのまま素直に訳せばよいものをあえてわざわざダサくカタカナにしてしまっている。

 

まあそれはともかく、Physics of the Impossibleを一文で説明すると、「現在の技術では実現できないことを物理学的に説明する」である。

 

カク先生は、この「実現できない」をクラス1~3の3段階で説明している。いずれも技術として確立したものではない(したがって未だ実現できてはいない)。

クラス1は、理論的には現在我々が認める物理法則に反してはいないもので、1~2世紀以内は実現可能と推定されるもの。例としてはテレポーテーションがある。

クラス2は、現在検証中の理論も含め、科学者がぎりぎり可能か不可能か見極めることができそうなものである(technologies that sit at the very edge of our understanding of the physical world)。例としてはタイム・トラベルがある。

クラス3は、物理法則(註:あくまでも人間が定めたもの)に反するものである。永久機関(perpetucal motion machine)と予知(precognition)のみがこのクラスに分類されるとしている。

 

技術的に人類がどこまで実現できるかに関して、科学界でこれまで何度も「~は不可能」という主張がなされてきたが、量子論、相対論等これまで何度も自然科学のそれまでの「常識」を覆す理論が打ち立てられるたびに、「不可能」の境界線はシフトしていった。

理論物理学者であるカク先生が、あくまでの「現在の物理法則では」とことわっているのは、今後も科学は進化し、したがって現在不可能とされることもやがて可能とみなすことができるかもしれないという可能性を信じているからに他ならず、科学者として謙虚で客観的なスタンスと受け取れる。