コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

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量子コンピュータは実現するのかYoutube観てみた

こんどの研究会で某有名外資系IT企業の方が量子コンピュータの講演をするというので予習をしておかなければならない。

というより、先端技術は仕事上ある程度理解しておかないと(AIでもIoTでもロボティクスでも再生医療でもブロックチェーンでも)いけない立場上、量子コンピュータは必須科目なのである。

こういう先端技術に関して学ぶには、本屋に並んでいる解説書では最初の情報は得られないので、最新の情報が取得できるソースに頼る。YouTubeである。

YouTubeで"quantum computing"と打って検索して、まず出てくるのがこの動画である。

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700万ビューを超えている。「量子コンピュータ解説ー人類の技術の限界」というタイトルである。オーストリア科学協会によるものだ。

内容を要約すると、従来の方式のコンピュータでは計算能力向上に限界が生じており、そこで注目されているのが量子の「重ね合わせ」と「もつれ」により、一つのチップで同時に複数の演算が可能となる量子コンピュータであり、人類に革命をもたらす、とある。うーむ。これでは自分にとって何も新しい情報ではない。

 

仮にこの理論が正しいとしても、実際に量子コンピュータが実現できるか否かについての答が欲しいのである。

そこで、別の動画を探す。尊敬するカク・ミチオ先生による解説を発見。

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この動画は100万ビューを超えている。5分足らずと短い。相変わらずカク先生の説明はわかりやすい。量子コンピュータは何か、ではなく如何に量子コンピュータをプログラミングするか、というタイトルである。

冒頭はムーアの法則の限界についてである。量子コンピュータをプログラミングするには、電磁場に量子ビット(qubit)となる原子を並べることだが、これが問題である。これがきわめて不安定なシステムなのである。ほんの少しの外乱(磁力、振動)がdecoherenceを生じさせ、システムは崩壊してしまう。量子コンピュータが実現する前に、おそらく分子コンピュータが実現するであろう。

 

なるほど。きわめて不安定なのだそうだ。それはそうだろう。とても繊細かつ巧妙な仕組みでqubitを扱うのだから。どれだけ繊細で巧妙かはたとえば量子コンピュータの仕組に関して別の動画が解説している。

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電子にその固有振動数と同じ電磁波を照射するのだそうだ。ふむ。具体的にこれを再現性を以て実施するのは、想像の域を出ないが、きわめて高度な技術であることは確かだろう。

 

IBMIntelの取組紹介動画もあるが、まだまだ実験段階である。

従来の計算方式では最高性能のスパコンでも非効率な医薬品開発の完全なin silicoでの遂行や、巡回セールスマン問題の解を求める、あるいはRSA暗号を無効にするとまで言われる量子コンピュータだが、まだまだ研究ステージにあるようだ。

 

ところで計算機理論に関して言えば、既に解決されているが解決しても発表しないであろうとも囁かれるP≠NP予想(計算機理論の難問)は本当のところどうなっているのだろうか。多くの数学者はP≠NPであると仮説を立てているようだが、既にP=NPであると証明した、と豪語される先生もおられる。

ameblo.jp

軍事的配慮から未発表(これも一理あるが)ということなので、検証のしようもないのであるが。

量子コンピュータは完全なまやかしである、という主張にも一理ある。

 

しかしサイエンスは妄想と夢と苦難から生まれるものだ。多少は量子コンピュータ、あるいは従来のコンピュータを覆すものの出現に期待したい。