コンサルタント=ピアニストはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストが仕事術とピアノと減量と英語と沖縄とかについて語ります

コンサルの技シリーズ①売上予測(成熟事業編)

コンサルの必須基本動作であり熟練に限りが無く手腕が問われる技はなんといっても売上予測である。

成長戦略策定においても、M&Aや事業承継の助言(事業価値評価)においても、売上予測は必須であり最も難しい。

成熟した事業ならまだしも、萌芽期にあるスタートアップ(ベンチャー)となると格段に難度が上がる。

今回はある程度成熟した事業について述べる。

事業環境(外部および内部)特性を的確に把握することが大前提である。

その上で、おさえておくべき基本は:

1 トップダウンボトムアップ

2 楽観/悲観/成行シナリオ

3 外部要因と内部要因(施策)

の場合分け、因数分解である。

1は、まずトップダウンとは市場規模推移とシェアから算出する最もシンプルな方法。この場合、戦う市場セグメントを特定すればあとは(データ収集の容易さは市場により異なるが)比較的単純作業である。一方、ボトムアップとは、事業単位あるいはブランド/製品/サービス/顧客別(事業によりどれを軸とするかは異なる)別に過去から直近までの推移をもとに来期以降の売上ドライバを特定し外挿(ドライバーに応じ)する。事業によっては数年先或いはそれ以上の売上がほぼ見えているものもある(医薬品など)ので、その場合中期予測(3ー5年)はボトムアップの方が確度が高い。トップダウンボトムアップは双方を突き合わせ、乖離が大きい場合は事業環境の理解に基づき修正する。

2は、統計分布に考えると、最も起こりやすいのが成行(最頻値とすべきだが統計分布で考える場合には厳密性を欠いても平均値と捉えても実際上は問題はない)、楽観と悲観は平均値を中心にアップサイドを盛り込んだのが楽観、ダウンサイドを盛り込んだのが悲観と考える。統計分布で説明するのはあくまでもイメージであって、実際にはアップサイドもダウンサイドも、事業の運営者(経営者)がコントロールできる要因を特定し、それら要因に対する施策と施策の売上インパクトを算出した上で、経営資源の制約の範囲内で成行に加えたものがそれぞれの売上シナリオ(ケース)となる。要因には必ず不確実性が存在するので、不確実性を可能な限り定量化し、共線形性や同時発生確率も考慮した上でアップサイドとダウンサイドを定量化することが望ましい。不確実性とそのインパクトの定量化にはたとえばトルネード・チャートのようなツールもある(Google先生に聞くといろいろ解説が出てくるので参照されたい)。重要なのは、楽観と言っても根拠のない楽観ではなく、悲観と言ってもリーマン・ショックのような事象を想定するものではない(ちなみに外国人に「リーマン・ショック」といっても通じないので、global financial crisisと言いましょう)ことに注意する。

3は、2と関連するが、特に自社の能力・資産・資源でどこまでできるかを特定するのがコンサルタントの腕のみせどころである。どの企業、どの事業にも、自社の組織能力を高めることでかなりの売上・利益改善の余地があり、一流のコンサルタントを起用することで「成行」を大きく超える業績を上げることができる。ただし、それはあくまでもアップサイドである。そしてそれは内部要因にカウントできる。

おわかりかと思うが、2の「楽観」にしても3の「内部要因」にしても、誰が見るかによって変わってくるということだ。見る人がみれば他の人から見て(特にその事業の当事者から見て)不可能なことも、十分に実現可能なものとなるということだ。教科書やビジネススクールではこれに触れない。というより、一般論としてこれを述べることはむしろ適切ではないから教科書やビジネススクールではそう言えないだけであり、実際には可能なのである。