ショパンエチュード全27曲(作品10、作品25、新エチュード)中、よく最難曲として挙げられるのが10-2と並び25-6である。
個人的には25-6は音楽的には最難曲ではないと信じているが(25-5や10-11の方が難しい)、さはさりとてかなりメカニカルには困難な曲である。
指定速度(♩=138)で、三度を粒を揃えてレガートで弱音で弾くということ、それ自体がきわめて難しい。
25-6に取り組むことの意義はしかし三度が弾けるということのみではない。
瞬時の脱力と手の柔らかさに最高水準の技術を要求される。
また、この曲は指先だけで弾くものではなく、手首や腕の動きとのコーディネーションも必須である(他の曲ももちろん同様)。
この曲をマスターすることの意義は、ショパンの多くの楽曲を弾くうえでとても重要な意義を有する。
たとえばショパンのピアノ協奏曲1番、2番、幻想ポロネーズ、マズルカのいくつか、プレリュード24番、子守歌などである。
この曲の演奏は、YoutubeやCDでおそらく50名以上のピアニストの演奏を聴いている。ショパンコンクール優勝者であるダンタイソンや同コンクール入賞者である海老彰子の演奏もきわめて高い水準の演奏であるが、個人的にはおそらくショパンが求めた音楽に最も近いと思われる演奏を音源としてお勧めしたい。
レヴィーンが如何に偉大なピアニスト、いや音楽家であったかはその経歴だけをみても想像に難くないが、この演奏にその一端が十分にうかがえる。
惜しむらくはレヴィーンの音源があまり残されていないことである。