先日不動産テックについて書いた。不動産テックはフィンテックの一部だという人もいるし、単なる「スクレイピング」だと批判する人もいるが、それはあまり本質的ではなく、テクノロジーによってこれまでの不動産の常識を覆し、前提を変え、制約を外し、社会的なインパクトをもたらすことができるか否かが本質だと思う。
そのような不動産テックの一つが不動産クラウドファンディングだと考えている。
- ちなみに、クラウドファンディングのクラウドはcrowdであってcloudではない。不動産クラウドファンディングを図示したものの中に、投資家が雲に乗っている図を昨日どこかの雑誌の記事で目にしたが、これはきっと勘違いしてるのであろう。
昨年末に不動産特定共同事業法が大幅改正され、事業者要件が大幅に緩和されたのみならず、クラウドファンディングの活用を想定した改正も盛り込まれたのは、民間の側で活用が進んだことがドライバーになっている。法規制はしばしば課題解決より実際の取組の成功に後押しされることがあるが、法改正が不動産クラウドファンディングのポテンシャルの高さを証明した形になっているともいえるだろう。
ここでは実例として1社紹介したい。
まずは、OwnersBookである。これは、個人が1万円から投資でき、対象となる不動産(住宅やオフィスビルなど)の(共同)オーナーとなることができるのみならず、クラウドファンディングの特徴である、参加者のコミュニティの一員となって情報交換できるという、クラウドファンディングのメリットをフルに生かしつつ、従来の「小口化」をさらに推し進めた商品である。
OwnersBookを運営しているのは、ロードスターキャピタル株式会社。2012年3月設立、岩野達志氏が社長を務め東京銀座に本社を置く、資本金13.32億円、従業員39名の若い企業だが、既に多くのプロジェクト実績を有する(件数、調達金額は調査中)。
ロードスターなど数社が実績えおあげているとは言っても、不動産クラウドファンディングは市場としてはまだ黎明期である。
先日のかぼちゃの馬車のような事件が起きることもなく、空家対策であれ空室対策であれ社会問題の解決に資するアプローチに育てなければならない。