コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

テレワークの議論の陥穽

目下、国を挙げてテレワークが推進されている。

総務省|ICT利活用の促進|テレワークの推進

そもそもテレワークとは何か。総務省の定義にはこうある:

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。 

ふむふむ。 

そしてこの総務省のサイトには、テレワークのメリットが9点挙げられている:

  1. 少子高齢化対策の推進
  2. ワーク・ライフ・バランスの実現
  3. 地域活性化の推進
  4. 環境負荷軽減
  5. 有能・多様な人材の確保
  6. 営業効率の向上・顧客満足度の向上
  7. 顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加
  8. コスト削減
  9. 非常災害時の事業継続

まぁひとつひとつはごもっともである。何も会社の従業員が同じ場所で同じ時間帯拘束されなければならないという前提自体に無理があるのだから。

 

問題は、このサイトにある「ICTによる生産性向上」である。しかもこの生産性は「我が国の生産性」とはあるが、生産性の定義がない。産業競争力のことか。アベノミクスの放たれなかった三本目の矢がこれにすり替わっているのだとしたら背筋が寒い。

日本の産業競争力は、製造業で完全に欧米はおろか中国や韓国にも後塵を拝している現代において、知的生産性向上に頼るしかない。知的付加価値創出を如何に促進するかを議論しなければならないところである。

ICTは業務の効率化には多少役には立つが、知的付加価値創出にははっきり言って役に立たない。RPAというAIでも何でもないマクロは単純な定型業務を自動化するに過ぎない。AIといっても未熟過ぎて人間の知的生産性向上には寄与しない。

ではここでいうICTによる生産性向上とは一体何なのだろうか。説明がない。

コンサルタントという仕事は知的付加価値だけが武器であるが、最も知的生産性の高い時間はチームでのF2Fでの議論である。

もちろん労働人口全体から見ればわずかな比率の職業だと思うが、他の専門サービス業や一般企業の企画の方々などにも共通することだ。

どうもこの肝心な知的生産性がテレワークの議論に抜けているところが気になる。