今回は楽曲解説。個々の曲については次回以降にゆずる。
既にこの曲(曲集)については多くの方々が解説を書かれているので、この記事ではそれらの情報を「いいとこどり」させていただき、よりコンプリートなものにしたいと思う。
なお、個々の事実の確認については、それぞれの著者の方々に敬意を表しそのまま使わせていただいているが、折を見てできるだけ原典に近い資料をあたり、適宜アップデートしていきたいと考えている(これからもずっとこの曲とは付き合っていくので)。
なお、参考にさせていただいたのは以下のウェブサイトである。
- Wikipedia日本語版(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3))、
- 同 英語版(https://en.wikipedia.org/wiki/Preludes_(Chopin))
- ショパンの24の前奏曲(プレリュード)について http://www10.plala.or.jp/frederic3/work/prelude.html
- ショパン:前奏曲集 作品28 http://www.asahi-net.or.jp/~qa8f-kik/chopin/Prelude/index.html
- ショパン 24のプレリュード | いつも心に音楽を https://ameblo.jp/uhtang/entry-12314166879.html
作曲年: 24の前奏曲作品28は、1839年1月にマジョルカ(Majorca)島で完成した。完成の時期はユリアン・フォンタナ宛の手紙によって確認できるが、着手の時期については明らかでなく1831年から1838年まで諸説ある。が、1836年が通説とされている。英語版Wikipediaでは1835年からとなっている。ショパンは1838-1839年にかけてパリの鬱陶しい天候を避けるため恋人のジョルジュ・サンドと彼女の子供たちと共にマジョルカ島のヴァルデモッサ(Valldemossa)僧院に滞在し、ここでもいくつかの曲は作曲されたともされる。
出版・献呈: 出版は1839年の9月になされ、フランス版はピアノ製作者であり出版業者でもあるカミーユ・プレイエル(Camille Pleyel)に、ドイツ版は作曲家でありピアニストであるヨゼフ・クリストフ・ケスラー(Joseph Christoph Kessler)に献呈された。プレイエルは作曲依頼の報酬として2,000フラン(現在の価値にして約3万米ドル)を支払ったといわれる。
構成: 24曲がすべて異なる調性で書かれているが、これはJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集に敬意を表したものといわれる。曲の配列は、ハ長調 - イ短調 - ト長調 - ホ短調 …と平行短調を間に挟みながら5度ずつ上がっていくという順序になっている。ラフマニノフ、スクリャービン、ショスタコーヴィチも後に同様な前奏曲集を創作している。
アンコールピースとして個別に演奏されることもあるが、現在ではむしろ24曲全体で一つの作品と考える考え方が主流であり、全曲通して演奏されることが多い。
各曲の特徴: 曲想は、ほとばしる感情をむき出しにするものもあれば、優雅さや穏やかな心を感じさせるのもあり、全曲通して聞いていても聴衆に単調さを感じさせない。演奏時間は全曲通して35分程度。
編曲: 1912年にジャン・フランセが管弦楽用に編曲している(カール・アントン・リッケンバッハー指揮、ベルリン放送交響楽団(ベルリン放送交響楽団の前身)による録音がある)。