コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパン前奏曲集作品28⑦

前回に続き個々の楽曲解説を試みる。今回は5番から8番まで。

参考にさせていただいたサイトは④に記載している。

 

第5番 ニ長調(D major) Allegro Molto、8分の3拍子、40小節

f:id:jimkbys471:20181028134004j:image

両手で半音階動機を織り交ぜたアルペジオが繰り返される無窮動曲。レガート奏法ながら左手の跳躍が激しく、また4の指が効果的に使われる。コルトーには「歌にあふれた木々(Tree full of songs)」と評され、ビューローには「不確かさ(Uncertainty)」と評されている。

演奏上のポイントは、決してメカニカルに単調にならないようにすること。内声を大切に。頻繁な色彩の変化も。

 

第6番 ロ短調(B minor) Lento Assai、4分の3拍子、26小節

f:id:jimkbys471:20181028134031j:image

右手の和音の伴奏に乗って、低音部に陰々とした主題が歌われる。練習曲25-7同様、明らかにチェロである。長いフレーズ感はきわめて重要であり易しくはない。

この右手の伴奏形からジョルジュ・サンドはこの曲を「雨だれ」としている。

ショパンの葬儀の際に第4番と共にオルガンで演奏された。コルトーはこの曲を郷愁(Homesickness)、ビューローは鐘の音(Tolling bells)と評した。

 

第7番 イ長調(A major) Andantino、4分の3拍子、16小節

f:id:jimkbys471:20181028134059j:image

歌謡風の主題が印象的で単独でもよく知られた小品。日本では太田胃散のCMに使用され、よく知られるようになった。アルフレッド・コルトーには「心に芳香の如く漂う想い出(Sensational memories float like perfume through my mind...)」、ビューローにはポーランドの踊り子(The Polish dancer)と評されている。後に、フェデリコ・モンポウがこの主題に基づいて「ショパンの主題による変奏曲」を作曲している。

同じ和音が3回ずつ連打されるが、この弾き方にセンスが問われる隠れた難曲である。

 

第8番 嬰ヘ短調(F sharp minor) Molto Agitato、4分の4拍子、34小節

f:id:jimkbys471:20181028134130j:image

ヴィルトゥオーゾ的な曲。フランツ・リストによりこれもまた雨だれの様子を描写したと評されている。右手の付点リズムの中のアルペジオと左手声部の広い音域を抑える3連符は技巧を要するが、何より重要なのはソプラノであり、32分音符はこの上なく軽く均一に。バスのラインも。

コルトーはこの曲について、雪が降り風が吹きすさび嵐が荒れ狂うが私の寂しい心には嵐ほど見たくないものはない(The snow falls, the wind screams, and the storm rages; yet in my sad heart, the tempest is the worst to behold)と述べ、ビューローは絶望(desperation)と評している。