コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパン前奏曲集作品28⑨

前回に続き4曲ずつ個々の楽曲解説を試みる。今回は13番から16番まで。

参考にさせていただいたサイトは④に記載している。

 

第13番 嬰ヘ長調(F sharp major) Lento、4分の6拍子、38小節

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ノクターン風の穏やかな曲。

コルトーは異国の地にて星降る空の下遠くにいる愛する者を思う(On foreign soil, under a night of stars, thinking of my beloved faraway)、ビューローは喪失(Loss)と評している。

 

第14番 変ホ短調(E flat minor) Allegro、2分の2拍子、19小節

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両手のユニゾンで三連符が連続する。形式的には変ロ短調ソナタの終楽章に類似しているといえる簡潔な曲。

コルトーはこれを「怖れ(Fear)」ビューローは「荒れた海(Stormy sea)」と評した。

 

第15番 変ニ長調(D flat major) Sostenuto、4分の4拍子、89小節

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有名な「雨だれの前奏曲」である。24曲中最も演奏時間が長い(5分程度)。「雨だれ」の描写は他調の曲でも行っているが、繋留音が異名同音でこれほどまでに清明変ニ長調)と暗黒(嬰ハ短調)の対比をさせる結果になっているのは本作だけである。比較的平易に演奏できるが、作曲技術の妙を感じさせ、ショパン前奏曲の代名詞のようになっている。なお、日本のテレビドラマ『大都会 闘いの日々』の第27話「雨だれ」(1976年7月6日放映)にも使用された。

コルトーは「だが死はここにある。影に(But Death is here, in the shadows)」、ビューローは「雨だれ」(Raindrop)と評した。

 

第16番 変ロ短調(B flat minor) Presto con fuoco、2分の2拍子、46小節

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音階を主動機にした右手声部とショパンに特徴的なリズムの左手低音部からなっている。途中にユニゾンがあり激烈そのものの曲想を盛り上げる。

「高速で演奏されて効果があがるだけに全24曲中でも最高の難曲」と評されるのをよく目にするが、この曲の難しさは音域の広さがあり、実は左手の動きも跳躍はあるものの複雑ではなく、まずは左手が右手の邪魔をしないようにすることで解決する。

コルトーによればこの曲は「深淵への落下(Descent into the abyss)」、ビューローによれば「冥界(Hades)」だそうである。