コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパン前奏曲集作品28⑪

前回に続き4曲ずつ個々の楽曲解説を試みる。個々の楽曲解説は今回が最終で、21番から24番まで。 参考にさせていただいたサイトは④に記載している。 

 

第21番 変ロ長調(B flat major) Cantabile、4分の3拍子、59小節

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13番同様ノクターン風の曲想。伴奏形が波を連想させる。左手はあくまでもlegatoで。

コルトーはこの曲を「告白の地への孤独な帰還(Solitary return, to the place of confession)」と、ビューローは「日曜日(Sunday)」と評した。

 

第22番 ト短調(G minor) Molto Agitato、8分の6拍子、41小節

左手のオクターブが暗い情熱を表すと共にかぶせるように右手で断片的なモチーフが奏され、切迫感を醸成する。後にスクリャービンがこの音型を採用している。

演奏上は、そうは言ってもあまり左手ばかりにならないように(と師匠に指摘されたことがある)。コルトーは「反乱(Rebellion)」、ビューローは「焦燥(Impatience)」と評している。的確である。

 

第23番 ヘ長調(F major) Moderato、4分の4拍子、22小節

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軽快な旋律を転調させて繰り返す。なお終止のアルペッジョの中に、ヘ長調の和音に含まれない変ホの音が入っており、のちの付加音の発想を連想させ、曲間の連携(連作感)が示されている。決して弾きやすい曲ではなく、指の都合で変なアクセントがついたりしないように注意。

コルトーは「戯れる水の精(Playing water faeries)」、ビューローは「遊覧船(A pleasure boat)」と評した。

 

第24番 ニ短調(D minor) Allegro appassionato、8分の6拍子、77小節

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左手の幅広い音域による低音部、右手の強烈な半音階は演奏至難。前奏曲集を締めくくる重厚かつ、激烈な作品である。

最低のD音を、三度、最強音で、鐘の如くに鳴らして終わる。左手でCとEの鍵盤を押して置き右手の拳で弾く人もいる。

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この曲は1944年のワルシャワ蜂起を描いた映画のエンディングで使われた。

コルトーはこの曲を「血と世俗的な快楽と死と(of blood, of earthly pleasure, of death)」と評し、ビューローは「嵐(the storm)」と評した。