前回の続き。今回は8,9,10,11,12番。
まずは第8番:
9-10小節かなり書き換えられた跡がある。ここは嬰ヘ短調から変ロ長調に遠隔転調するこの曲で最も印象的かつ自分が最も好きな箇所だけに、このように工夫の跡が自筆譜上でみられることはうれしい。
第9番:
この曲はよく言われているように、ノート・エガルで弾くべきだと言う主張に自分も賛同するし、自筆譜上でもやはり右手の付点四分音符と三連符の最後の音は同時に弾くように記譜されている。
それにしてもこの曲はあまり書き換えらしい書き換えの跡がない。最後から2小節目ぐらいであろうか。
第10番:
この曲もあまり書き換えた痕跡がない。再現部の前の小節ぐらい。
作曲プロセスとは関係ないが、右手は音価を正確に弾いてほしいものである。五連符のように聴こえる演奏があるとがっかりしてしまう。ショパンもはっきり三連符を指示している。
第11番:
この曲も書き換えらしい書き換えはないが、注意したいのは細かいペダリングの指示である。
第12番:
この曲は書き換えが多い。12小節目などゾクゾクする転調があるところはやはり推敲を重ねているのだと思うと、8番同様うれしくなるし、特に大切にしなければいけないと思う。