コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

彫琢復朴

先日行なわれたピアノのマスタークラスにおいて、自分はレッスン生として参加したわけですが、講師であるピアニストが使われた用語の中で、とりわけ我々受講生の心に響いた言葉が、「彫琢」です。

彫琢とは、彫刻とは異なり、読んで字の如く「彫(ほ)って琢(みが)く」ことを意味し、マスタークラスでは、楽曲を仕上げていくことのメタファーとして使われたものです。

同じ芸術ではあっても音楽と美術は異なるものの、楽曲を仕上げていくプロセスをイメージする上で、とても我々の間でしっくりきたものです。

この言葉の出典をたどったところ、どうやら荘子の「木鶏」という一節のようです。この話は、王から一羽の鶏を育てるよう仰せつかった闘鶏家が、まるで木で作った鶏のように、何が起こっても泰然自若としている闘鶏こそが真の王者であり、その境地に至るまで育て上げたというものです。

この話には、彫琢復朴とあり、この意味するところは、苦労して彫ったり磨いたりして仕上げていくものの、最終的には飾り気のない素朴、純朴なものに復する(帰る)様を、真に偉大な人物の在り方として喩えたものです。

なるほど、確かにピアノ曲を仕上げて行くにあたっても、様々な工夫と鍛錬を重ねていくものの、最終的には実に自然で、心にまっすぐに訴えかけてくるような状態を目指さなければいけない、ということなのだな、と思いました。