コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

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ショパン前奏曲集作品28(38)ペダリング(その2)1番ハ長調

前回に続き、加藤一郎氏によるショパン前奏曲集作品28の自筆譜に基づくペダリングの分析について書いてみる。

下図は1番の譜である。注目すべきは私が赤丸で囲んだ21小節目のペダルを上げる記号の位置である。

加藤氏の着眼の良さは、この小節においても、他の小節と同じタイミングでペダルを上げるようショパンが指示している点である。

余計なことは一切記譜しないショパンが、機械的にどの小節も同じ指示を書くはずはない。16小節からのstrettoで曲想が最高潮に盛り上がる21小節ですら、むやみに響かせようとペダルを長めに踏んではならない、という指示であろう、という加藤一郎氏の分析はまことにしっくり理解できる。

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先日のマスタークラスでは、ショパンは大阪のこってりではなく京の薄味、と講師は仰ったが、殊にそれがこの前奏曲集作品28の各曲の表現においては、ショパンのこの記譜に明確に現れているといってもよいであろう。

自分でも無意識にこの小節はペダルを長めに踏んでいたようにも思うので、十分に注意しなければならない。