美しい曲である。ひたすら美しい。この美しさをどう表現するか。
またもや(11番に続き)ショパン先生は冒頭下段にlegatoと指示していらっしゃる。
この開離和音をlegatoでダンパーペダル控えめに弾くには手のしなやかさと運指の熟慮が欠かせない。
旋律も単調になってはいけない。冒頭右手Fisのトニック三和音第二転回形が三度鳴らされるが、これをどのような表情をつけるか。普通に考えれば若干cres.気味に弾くのが自然であろう。
そして中間部。ここは内声やバスの動く音のラインをバランスを保った上でセンス良くen dehorsとするのが当然である。
ペダリングはこの曲に関してはショパン先生はとても親切に記譜されているのでほぼそれに忠実に弾くのが良いが、できれば和声外音で濁らないように工夫したい。
また、33から36小節にかけてはソプラノの長音符が美しく響くようなペダリングの工夫を作曲者自身自筆譜に記譜している(パデレフスキ版では下段にペダル記号があるが)こともしっかり留意しておきたい。