先日投降した最近のレコーディング以来、ひさしぶりにApple Musicでショパン前奏曲集作品28の音源を検索したところ、新たに追加されていた。フランス人ピアニストEmmanuel Despaxの2017年の演奏である。
ちなみに前回投降したレコーディング評はこちら:
Emmanuelの演奏を1番から24番まで通して聴いてみたが、ほとんど違和感がない。
丁寧に音楽を作っていることがよくわかる。特に17番。
あえて難を言わせていただくとすれば、曲間の間の長さである。たとえば19番と20番。ここは個人的にはattacaであるべきだと思うが、しかしそう作曲者が指示している訳ではないので、あくまで主観である(しかし主観は重要)。
もう一つ、かなりの実力者だとは思うのだが、24番の右手の高速パッセージが遅れ気味になっているのが気になる。曲のテンポ設定自体は遅すぎもせず速すぎもせずよいのだが、高速パッセージの小節がいずれも結果としてritになっているのは惜しい。
しかし全体としてはこれまで評させていただいた4つの音源の中で個人的に最も高く評価したい。ナチュラルで丁寧、かつメカニックを決して前面に出すことのない演奏である。