前回の16番に続き今回は19番についてどうすれば弾きやすくなるかのポイントを挙げてみる。
19番の難しさは両手共に開離した分散和音が連続するところにあり、しかも変化が激しいところにある。開離が大きいため、しばしば跳躍を伴う。
この種の曲は、ショパンエチュード作品25の4もそうだが、動きの軸を決めることが第一のポイントである。決して確率論的に反復練習で確率を上げるようなことをする必要は無い。
次のポイントは、この曲を6声と捉え、旋律線を明確に出すことである。これを意識するとしないとでは格段に演奏の安定度が変わる。
場所によってはソプラノでフィンガーペダルを用いることでさらに確実性が増し音楽的にも向上する。
さらに、何より和声の変化を明確に把握することで、和音構成音とそれに伴う手の形が意識できる。
最後に、ゼクエンツ的進行の構造も理解しておく。たとえば29小節から32小節にかけては全音階的に転調していく。
一方で43小節から44小節にかけては右手は半音階的に下行し左手は全音階的に上行することもしっかりおさえておくと弾きやすくなる。