ショパン前奏曲集作品28に関して述べたウェブサイトは多い。これまでおそらく20を超えるサイトを見てきたが、その中に「各曲の関連性は(五度調と平行調という調性関係を除けば)無い」という論調のものがいくつかある。
これに対して異を唱えたいので、自分なりの考えを述べてみる。
今回は、連続する楽曲の接続を考えてみる。
1番ハ長調の最後の音はE4(ピアノの中央ハ音はC4)である。次の2番イ短調の旋律の最初の音はE4である。ここに接続性は無いのだろうか。
2番イ短調の最後の音(アルペジオ最高音)はA3である。3番ト長調の旋律の最初の音はD4であるので1番と2番のような接続は無いが、左手のパッセージ、冒頭の第4音は一の和音の和声外音でA3である。これは接続と言えないだろうか。
3番ト長調の最後の音はこれも先行2曲と同様にアルペジオ最高音だがH4である。そして続く4番ホ短調の冒頭はH3-H4である。これは接続に非ずなのだろうか。
4番ホ短調の最後の音はアルペジオではないが最高音はE4であり、5番ニ長調の左手パッセージ1小節目の最高音もE4である。これは対応しているとは言えまいか。
7番の最終小節の前の小節、15小節目はCisがわざわざ前打音になっており、続く8番の旋律が1オクターブ低いもののCisで始まっているのは接続とは言えないのだろうか。
11番ロ長調の最後の和音の最高音はDisであり、12番嬰ト短調の旋律が同じDisで開始している。
12番嬰ト短調の最後の音はGisであり、続く13番嬰ヘ長調の左手の分散和音に和声外音であるGisが現れている。
13番嬰ヘ長調の最後の音はAisだが、異名同音のBが続く14番変ホ短調の最初の1小節、右手に3度出現する第五音。
17番変イ長調の右手の最後のC4音は18番ヘ短調の冒頭の音に一致。
19番変ホ長調の最後の和音の最高音Gは20番ハ短調の最初の和音の最高音に一致。
21番変ロ長調の左手の最後の和音は22番ト短調の冒頭の和音と一致。
このように、変則的になってくるものの、先行曲の最終音と後続曲の冒頭に現れる音の一致もしくは対応が認められる場合が多いのではないか。
きっとこの点に着目した研究もあるだろう。探してみる。
次回は動機について見ていく。