コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

優越的地位の濫用

コンサルタントとして、大企業による数々の「優越的地位の濫用」を直に見、また聞いて来ている。

優越的地位の濫用とは、独占禁止法に定める行為で、文字通り、自分の相手(取引先等)に対する「優越的」な地位を明に暗に根拠として、「不当な」要求をすることである。

条文によるとこうある:

優越的地位の濫用とは、①取引の

一方の当事者が自己の取引上の地位が相手方に優越していること(優越的地位)を利用して、②正常な商慣習に照らして不当に、不利益を与える行為(濫用行為)を行うこと(独占禁止法2条9項5号)

独占禁止法は、19条において、これを不公正な取引方法の一類型として禁止している。

たとえば、銀行が債権者として、融資先であり債務者である企業に対して行なう行為は、それが債務者である企業からして「不当」とみえる、あるいは実際に紛れもなく不当であることもある(実際にあった)。

債権者である以上、優越的地位にあるのは無理からぬことだ。

 

ところで、このような金融取引以外の関係でも「優越的地位」はあり得る。

大企業からの発注に売上の多くを依存している下請け企業に対して、発注者である大企業は優越的地位にあるが、独占禁止法が優越的地位の濫用として実際に適用された事例には、下請けの売上に占める大企業の発注金額がわずかな割合であっても適用された場合があるようだ。これはたとえば将来の発注をちらつかせることで大幅な値引を要求するとか、いかにもありそうなことだ。

しかし、金融取引に限らず、一般に金を払う立場の者、いわゆる客が常に「優越的地位」にあるとは限らない。

「お客様は神様です」は、まったく泣かず飛ばずで閑古鳥が泣いている商売の主が、今にも廃業という危機に瀕して救世主的に客が現れたらそれは神々しい存在に見えるということもあるだろうし、そもそみ商いを行なう者の心構えとしてというのであれば理解できるが、もし客が「自分は金払うんだから大切にされて当然」と思うなら勘違いも甚だしい。

確かに金を払うにしても、その対価として製品なりサービスの対価を受けているのだ。

これはたとえば医療機関でも同じこと。

それを言うなら商品(サービス含む)を提供する側にも「価値あるものを提供してやってるんだ」という論理も成り立つ。

本来どちらが優越的地位にあるということではない。原則として、基本的に、そして実際多くの場合対等なのである。

それを忘れてモンスター化する人間の実に多いことか。モンスターカスタマー、モンスタークライアント、モンスターペイシェントモンスターペアレント

怪物の増殖を許してはならない。

かつて仲の良い同僚がモンスターカスタマーに起因する過重労働で命を落とした。

少なくとも自分が関われる範囲で少しでもそんな状況を、そしてそのような状況を作り出す要因を排除していきたい。

それが自分の原体験に基づく動機でもある。