最も著名な画家のひとりであるパブロ・ピカソ（1881-1973）は、数々の名言を残したことで有名であるが、彼の芸術に関する視座はとても洞察と示唆に富んでいる。
いくつか引用してみたい。
“Art is a lie that makes us realize truth.”
（芸術は我々に真実を認識させる嘘である）
“Art is the elimination of the unnecessary.”
（芸術とは要らないものを取り除くことだ）
なるほど・・・
いずれの指摘も新しい。
ピカソの作品は、かつて旅行でマドリードを訪れた際に、ソフィア王妃美術館で大作ゲルニカを鑑賞できた。
戦争を知らない我々にとってもきわめて強烈な印象を残す作品であった。
一見とても情報量は多いのだが、しかしそこにひとつ貫く骨太のメッセージがあるところに、傑作たる所以がある。不要な情報、ノイズを除去することによって骨太のメッセージが浮かび上がる。二つ目の指摘はこのことを言っているともいえる。
そして、ゲルニカは情景を写実したものではなく、ピカソのイマジネーションであるが、それが逆に一つ目のことばのとおり、現実を強く認識させる仕掛けとなっている。
