仕事でネスレ(Nestle)の研究をする必要に迫られ、ネスレについて書かれた文献を探していたところ、この本に出合った。
ネスレの前CEOであるブラベック氏がネスレという会社の目指す方向と基本戦略について考え実践してきたことを具に書いている。
最も印象的な箇所は、ネスレはベンチマーキング(同業他社等との比較)を行なわず、いかに差をつけ拡げるか(gap making)をやっているということだ。
ベンチマーキングはもちろん有効な場合もあるが、こと戦略に関して言えば、それだけでは不十分である。相手を知った上で、ではどう自らのポジショニングを構築するか、同じポジションなら如何に差をつけるのか、を考えなければ意味がない。
競争的収斂(competitive convergence)が起きやすいのが常のビジネスにおいて、gap makingという考え方は重要である。縦のギャップもあれば横のギャップもある。
読後、どの方向にギャップをどれだけつけるべきか、この考えをぜひ日本企業には採用し実践してもらいたいと思った。