コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

新たな競争ロジック(The New Logic of Competition)を読む

以前勤めていた外資系の戦略コンサルティングファームから、定期的にメールが来るのだが、ほとんどの場合1秒でトピックのみスキャンした上でスルーしている。

が、一昨日届いたメールには、論稿"The New Logic of Competition"とあるので、興味を惹かれて読んでみた。

内容を一言でいうと:

企業を取り巻く事業環境が変化しているので、これまでの競争ロジックは通用せず(不十分であり)、新たな競争ロジックをビジネスリーダーは念頭に置いて経営せよ 。

ということである。ここまでは「まあそうかもな」である。

どう事業環境が変化しているかというと、まずその要因は、この論稿によると:

競争はより複雑かつダイナミックになっている

業界の境界が曖昧になっている

製品および会社の寿命が短くなっている

技術の進歩がビジネスを変革している

政治・経済等の不確実性が増している 

ということである。特に2010年代と2020年代の事業環境は異なると筆者達は主張している

ただし、問題は、何がどの程度異なるかは明言していないことである。

上記の5つの要因は、それこそ2000年代にも言われていたことばかりである。

一流のグローバルファームがこれだけパンチの効いたタイトルで論稿を書くのであれば、時系列的なコンテクストと具体的な事業環境変化の説明は必須である。

 

まあそれは許容するとして、では核心の「新たな競争ロジック」とは何かをみてみよう。筆者達によると、その要件(five new imperatives of competition)は5点ある:

  • Increasing the rate of organizational learning
  • Leveraging multicompany ecosystems
  • Spanning both the physical and the digital world
  • Imagining and harnessing new ideas
  • Achieving resilience in the face of uncertainty

意訳すると、①組織学習スピードを上げる、②他社と協働する、③リアルとデジタル両世界をまたぐ、④新たなアイデアを創出、⑤不確実性を(「レジリエントに」)マネージする、である。

そして、筆者らはこれらが"emerging aspects”であると称している。

 

トップコンサルティングファームとしては、big ideaを述べなければならないし、まずはこれをベースにトップとディスカッションし、この先はそれぞれの企業のcontext(文脈)で具体化していく、というアプローチであることは十分理解している。

 

自分が日ごろ様々な業種の経営者と話している中で、これらのことを意識していない経営者はいない。

いま手がけているエンタープライズリスクマネジメントのプロジェクトはまさにこれらすべてを既にアドレスしているし、コンサルタントである自分が指摘する以前に、役員の方はしっかり認識していた。

ただし、意識、認識していることと、組織としてしっかりと実行に移し結果に現れていることの間には3つぐらい壁がある。

いずれにせよこの記事は良い出発点にはなろう。