コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

戦略コンサルタント的ピアノ上達法(2)

前回(1)に引き続き、戦略コンサルタントならではの視点でピアノ上達法について書いてみる。
ステップ②でAs Is(現状)を分析し、③でTo Be(あるべき/ありたい姿)を定義する、とさらっと書いたが、今回はこの最も重要な(特にピアニストがプロもアマも最も改善の余地が大きいであろう)2点について考えを進めてみる。
まず、②の現状分析であるが、戦略策定における事業分析において無くてはならないのは、分析のアプローチ、分析に必要な情報収集、そして分析ツールとその活用に長けていることである。
分析のアプローチとは、そもそもどういうアウトプットを出すためにどういうフレームワークやモデルを用いれば良いのかを適切に設計したものである。
レッスンを受けるのであれば、教師にこれらが備わっていなければならない。楽曲の理解に基づきどういう演奏が具体的に「正しい」のか、また生徒の特性と能力の把握ができなければならない。
情報収集は生徒とのコミュニケーション(演奏も含め)がその手段であるが、そもそもどういう分析をしようとしているのか、つまりどういう情報から何を読み取るべきかを教師があらかじめ持っていなければ、いくら時間をかけてコミュニケーションをとっても、的確な分析はできない。
独習する場合、よく言われるのは自分の演奏を録画して視聴することが最も効果的かつ効率的な練習法だということだ。確かに、ただやみくもに繰り返し弾いても、程度の差こそあれ決して客観的に自分の演奏を把握することはできないし、良い演奏とは自分が判断するものではなく聴衆が決めるものであるから、主観的な(誤った)認識のままではいつまでたってもよい演奏にはならない。そして、自分の演奏を視聴するにしても、何を視るのか、何をどう聴くのかの視点が自分の中になければ、ただなんとなく「あー弾けてないなー」で終わってしまい、何を改善すべきかどう変えるべきかのアクションにつながらないからこれもまた上達にはつながらない。
③の「ありたい/あるべき姿」というのはさらに難しい。ただ「この曲が弾けるようになりたい」ではTo Beとしてまったく不十分である。企業であれば、どういう戦略ポジションをとり、どう差別化するのか、顧客にどう自社の製品/サービスを訴求するかの拠り所となる自らのブランディングがそこになくてはならない。ピアニストであれば、「どういうピアニスト/音楽家になりたいのか」である。ただ誰かの真似をするのではなく、自分の資質や意思がそこにあり、他者からみて納得できるような「ありたい/あるべき姿」でなければ単なる身勝手なあこがれに過ぎない。その意味では、実は①と③はつながっている。
②と③はこの順番に定義するのではなく、並行して検討するものだが、ピアノに関して言えば、実は③を最初に考えるべきかもしれない。何(曲、作曲家)を弾きたいか、ではなく、ピアニストとしての自分は何者なのか、をまず決めること。
とても難しいことだが、実はこれが上達の近道ではないかと今日思った。