前回に続き4曲ずつ個々の楽曲解説を試みる。今回は17番から20番まで。
参考にさせていただいたサイトは④に記載している。
第17番 変イ長調(A flat major) Allegretto、8分の6拍子、90小節
温和な曲想で繋留音を多用している。 メンデルスゾーンの無言歌を思わせるが、当のメンデルスゾーンは「私はこの曲が好きだ。私には到底書けそうもない性質の曲だ」と述べたといわれる。
コルトーによればこの曲は「彼女が私に愛していると言った(She told me, "I love you")」、ビューローによれば「ノートルダム寺院の光景(Scene on the Place de Notre-Dame de Paris)」だそうである。
第18番 ヘ短調(F minor) Allegro Molto、2分の2拍子、21小節
両手で弾かれるユニゾン(斉唱)はイタリア歌劇に影響されたといわれている。レシタティーヴォを思わせる。コルトーによればこの曲は「神の呪い(Divine curses)」、ビューローによれば「自殺(Suicide)」だそうである。
第19番 変ホ長調(E flat major) Vivace、4分の3拍子、71小節
幅広い音域で(複数の)旋律を浮かび上がらせることが求められる。コルトーには鳥の羽ばたきと評されている。
実際には24曲中メカニカルに最も難しい曲である。
コルトーによればこの曲は「愛する人の下へ飛ぶ翼(Wings, wings, that I may flee to you, o my beloved!)」、ビューローによれば「心からの幸せ(Heartfelt happiness)」だそうである。
第20番 ハ短調(C minor) Largo、4分の4拍子、13小節
コルトーに「葬送」と評されている。シンプルなコラールだが、ショパンらしい半音階的和声の進行があり、情感深い作品である。
後に、これに基づいて、フェルッチョ・ブゾーニが「ショパンの前奏曲第20番による変奏曲とフーガ」を、セルゲイ・ラフマニノフが「ショパンの主題による変奏曲」を作曲している。
コルトーによればこの曲は「葬儀(Funerals)」、ビューローによれば「葬送行進曲(Funeral march)」だそうである。