のっけからショパン先生のキビシー指示である。
Cantabile。歌うように。
ショパン先生がおっしゃるからにはそんじょそこらのカンタービレではない。
ものすごく歌えということである。
右手の旋律が、決して左手に気を取られて損なわれてはならないどころか、全体としてmolto cantabileでなければならない。
当然のことながら、べったりダンパーペダルなど禁物である。
中間部はGes durへのいわゆるショパンの㊅の転調だが、fとはあっても決して吠えてはならないことはショパンを研究された方はもとより機能和声上は常識である。ここは強くではなく豊かな響きで。
それにしてもハンス・フォン・ビューローがなぜこの曲を「日曜日」と評したのかが謎である。比較的穏やかな曲想だからであろうか。