コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパン前奏曲集作品28(102)初レッスン

昨晩は、時折見ていただいている師匠その4(コンサートピアニスト)に初めてショパン前奏曲集作品28をみていただくという、きわめてチャレンジング(きわめて基本に厳しい方のため)な体験であった。

みてもらったのは16番から21番まで(22番から24番は手が回らなかった)。

結論からいうとこのタイミングでみてもらったのは大変よかった。まだ再開して2ヶ月足らずであり、まだまだいろいろ模索中の段階だからである。

バッハ平均律ベートーヴェンソナタを見てもらった際にも言われたことだが、拍子、強拍・弱拍という、当たり前すぎて楽譜にだれも書く訳がないところを今回もきびしく指摘された。

もう一つは和声の変化を如何に表現するか。ひととおり和声進行は分析しているが、デュナーミクペダリングなどどう具体的に実践するかは別問題。より緻密に計算し設計しなければならない。

渋谷のホール&スタジオ

先日、アメリカ留学時代の先輩から誘われてピアノ弾き合い会に参加してきた。

渋谷駅から歩3分と交通至便な立地。

https://www.shibuyahall.com

スタジオとホールがあるが、今回使ったのは5Fのホール。

新品のファツィオリF212がある。64席のホールにちょうどいい。

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なかなか良い響きであった。

この立地とピアノとホールで土日でも1時間4,000円とはかなりリーズナブル。

次回弾き合い会はここで企画しよう。

二二六事件について学ぶ③

二二六事件について学んでわかった重要なことがある。

この事件を理解するにあたり重要なこととは、それをあたかもドラマ仕立てで捉えたり、俗っぽい陰謀説として捉えたり、誰かを英雄もしくは悪者に仕立てそれだけをクローズアップするとか、そういうこととは対極にあるものとして理解するということだ。

複雑なのである。

自分の商売は複雑なことをシンプルにわかりやすく伝えることだが、必ずしもそれが正しくない場合がある。たとえば二二六事件である。

うがった見方をするのではなく、丹念に史実を知り、それらの関係を事実に基づいてつなぎあわせ(今となっては遺書や裁判記録も明らかになっている)、複雑だと片付けるのではなく、その複雑さの本質を冷静に客観的にとらえることだ。

こういう能力は必要である。教養として。

ショパン前奏曲集作品28(101)各曲の鳥肌ポイント⑤

どの曲にも(好きな曲に限定されるが)自分が言うところの「鳥肌ポイント」がある。

この箇所を素晴らしく弾くと鳥肌が立つからそう名付けている。

必ずしもその曲の「ピーク」とは限らない。

作品28の各曲について、鳥肌ポイントがどこか、そしてなぜそうなのか、を6回に分けて解説する(一度に24曲分書くのは大変なので)。

今回は17番から20番まで。

 

第17番 変イ長調

箇所: 65小節目

理由: 再現部だがここから11回続くバス音Asの鐘の音に遠くから旋律が聴こえてくるかのよう。

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第18番 ヘ短調

箇所: 8小節目

理由: 高らかに朗々としかし奈落の底へと落ちていくようなユニゾンの下降音型のパッセージの迫力。

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第19番 変ホ長調

箇所: 16小節目

理由: mollに変わるかと思いきや次にGes durへ移行する和声のゆらぎが何とも美しい。

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第20番 ハ短調

箇所: 5小節目

理由: 場ががらっと変わり遠くから聴こえてくるコラール。

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ショパン前奏曲集作品28(100)各曲の鳥肌ポイント④

どの曲にも(好きな曲に限定されるが)自分が言うところの「鳥肌ポイント」がある。

この箇所を素晴らしく弾くと鳥肌が立つからそう名付けている。

必ずしもその曲の「ピーク」とは限らない。

作品28の各曲について、鳥肌ポイントがどこか、そしてなぜそうなのか、を6回に分けて解説する(一度に24曲分書くのは大変なので)。

今回は13番から16番まで。

 

第13番 嬰ヘ長調

箇所: 21小節目

理由: 嬰ニ短調に暗転したかと思いきや今度は嬰ハ短調に明転。

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第14番 変ホ短調

箇所: 7小節目

理由: ナポリの六の和音が出現。深い響きで。

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第15番 変ニ長調

箇所: 60小節目

理由: 中間部の主調cis mollにⅤの和音で戻る。どこかしら懐かしい響きで。

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第16番 変ロ短調

箇所: 22小節目

理由: durへの移行。くもった深い響きだが少し明るめに、明るさを増しつつ弾く。

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二二六事件について学ぶ②動機

前回、二二六事件について3つの大論点を挙げた。

大論点1は、「なぜ青年将校たちはクーデター(coup d'etat、英語ではcoup)を企てるに至ったのか、であった。

言い換えれば、首謀者達の動機は何だったのか、である。

彼らがどれだけの憤懣不満を抱えていたのか、そして何をしたかったのかについては、今となっては様々な証言や文献から多くの情報や分析が容易に入手できるため、かなり明らかになっている。

最も大きな要因としては、当時の将校たちが置かれていた環境にあるだろう。

彼らは経済的にも身分的にも心理的にも貧しかった。

時は軍縮の時代で多くの軍人がリストラされ、かつ軍人に参政権はなく、世界恐慌に誘発された昭和恐慌の時代、そこに凶作による農村恐慌があり、結婚にも苦労し、市民からは税金泥棒と呼ばれた、受難の時代であった。

しかし受難イコールクーデターとはならない。

そこにあって政府と財閥の癒着があり、既に1930年に浜口雄幸狙撃事件、翌1931年に三月事件、1932年に血盟団事件と五一五事件が発生するなど、モメンタムが上がっていた。

一方で北一輝の唱える国家改革運動という思想的支柱があり、しかもアイデンティティクライシスを抱いていた青年将校達は自分達こそが日の本の国が世界を変える主役となれるのだと勇気づけられ使命感を抱くに至った。

そこにきて1935年8月、皇道派の相沢中佐が「統制派」の永田鉄山軍務局長を白昼堂々斬殺したいわゆる「相沢事件」が青年将校たちに「自分たちも行動を起こさねば!」と奮い立たせたのであった。

さらに、1935年12月には、青年将校たち在籍していた第一艇団の満州派兵が発表されたことがとどめ(首謀者達を決意させた)を刺したのであろう。

・・・というのが自分なりの分析である。

 

これだけの条件が揃えば動機としてはおそらく十分で、あとは如何に作戦を秘密裡に練り短期間に必要な資源を確保して実行に移すかということになるが、ではなぜ実行に移すことができた(結果的にはクーデター未遂となるとはいえ)のかについては、次回に譲ろうと思う。

ショパン前奏曲集作品28(99)各曲の鳥肌ポイント③

どの曲にも(好きな曲に限定されるが)自分が言うところの「鳥肌ポイント」がある。

この箇所を素晴らしく弾くと鳥肌が立つからそう名付けている。

必ずしもその曲の「ピーク」とは限らない。

作品28の各曲について、鳥肌ポイントがどこか、そしてなぜそうなのか、を6回に分けて解説する(一度に24曲分書くのは大変なので)。

今回は9番から12番まで。

 

第9番 ホ長調

h箇所: 7小節目

理由: A durからAs durへ1拍毎に転調の連続。徐々に柔らかく

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第10番 嬰ハ短調

箇所: 6小節目

理由: ショパンは決して同じ形で繰り返すことはしない。Aisでgis mollへ転調途上

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第11番 ロ長調

箇所: 10小節目

理由: この曲唯一のmollであるgis mollへの転調。明るいながらも若干の翳りが

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第12番 嬰ト短調

箇所: 11小節目

理由: 平行調であるロ長調への転調の兆し。小節頭で若干弛緩し明るさを出していく

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二二六事件について学ぶ①

来週の近現代史研究会のお題である二二六事件についてここのところ多くの論文や図書を読み勉強している。

学校の歴史では実に軽くしか扱われない二二六事件。

日本近代史でも最も重要な出来事の一つ。重要というのは我々現代人が現在および将来について考える上で意義が大きいという意味である。

なぜ学ぶ意義が大きいのか。それは、様々な経緯が複雑に絡み合い発生に至ったこの事件を考えることはすなわち、国家・社会がその当時の国民のみならず後世の人々にも大きく禍根を残す事態を招いてしまったダイナミクスを考えることであり、単なる「日本史上稀にみるクーデター」などとドラマチックに捉えて済まされるものではないからである。

歴史に限らないが、何かを学ぶということは、しっかりと論点を定め、必ずしも十分ではない事実(史実)を相対的に(すなわち他との関係において)捉え、仮説を立て検証し棄却しまた新たな論点を定め・・・という仮説検証型の思考で臨むことが必要である。

大きな初期論点はおそらく以下のようなものであろう:

  1. なぜ事件の首謀者である皇道派の陸軍将校たちは事件を企てたのか?
  2. なぜ当時の天皇および政府は事件を未然に防ぐことができなかったのか?
  3. 事件の結果政府および陸軍はどう変わったのか?

1.に関しては、首謀者である青年達が抱いていた強烈な不満が何に起因するものだったかを考える必要があろう。

2.に関しては、当時の陸軍内部の統制および階級間の関係を考える必要があろう。

3.に関しては、二二六事件後の展開、すなわち翌年1937年の盧溝橋事件に始まる日中戦争、その翌年1938年の国家総動員法制定、1939年の日独伊三国同盟成立、そして1941年の日ソ中立条約締結と真珠湾攻撃、といった流れが如何なる因果関係にあるかを考える必要がある。

 

歴史の本もこのようなロジックで書いてくれるとよいのだが、特定の人物について詳しく書いていても、ストーリーとして因果関係がスッキリ判るように書いてくれているものは稀である。確かに歴史、特に二二六事件のように複雑なダイナミクスの帰結或いは象徴的出来事とされるものについては、極端にシンプルに捉えることは危険ではあっても、やはりこれだけの事が起きるには確固たる理由と必然性がある筈なのである。

バスリコーダーを自作する

楽器はそもそも安いものではないし、価格で決めるものではないが、それにしてもバスリコーダーは安くない。

楽器はいかなる楽器でも精巧に作られた工芸品であるとはいえ、必ずしも自作が不可能ではない(グランドピアノはさすがに個人では難しいが)と思い、広い世の中誰か自作しているだろうと思ったら思ったとおりだった。

https://www.instructables.com/id/Build-a-Great-Bass-ie-Viola-Range-Recorder-for-40/

市販品であれば2,000ドルはくだらないバスリコーダーが、日本で言うところのホームセンター(アメリカのホームセンターは日本よりはるかに品揃えが充実しているとは言え)で買える材料で自分で作れるという。

作り方を詳しく解説してくれている。

動画もある。

https://youtu.be/6w-W6C_4Qb8

そのうち時間ができたらトライしてみたい。

 

クラムボン

小学校の国語の教科書の教材として

昭和46年に採用された、

宮沢賢治の短編「やまなし」。

クラムボン

この言葉が何度も出てくる。

短編の中でクラムボンが何かを説明していない。

小学校の先生へのアンケートによると、教えにくい教材と答えた教師が7割とのこと。

何人かの研究者がクラムボンが何かについて自説を展開している。

どれも違うと思う。

自分には確信があるが

言わぬが花である。

個々の読者のイマジネーションに委ねるべきものだから。