セルフブランディングという言葉があります。
これによると、「企業や組織に所属しない「個人」が、自らをメディア化し、自らの力でプロモーションすること」とあります。
ぼくは日本の大学院を修了して最初に務めたのは、日本の大企業でした。社費留学制度で運よくアメリカのビジネススクールに進み、MBAを取得した訳ですが、当時は他のMBAの方々のように、コンサルティング・ファームや投資銀行に転職してキャリアアップするという発想はまったくありませんでした。
もともとあまり地位とか高収入とかには興味がなく、自分が打ち込める仕事があればそれでよかったのです。それは今でも基本的には変わっていません。
MBAを取得して復職し、4年ほどその日本の大企業の本社で新規事業開発でいくつか成果を挙げました(会社を設立したり、新たなサービスを企画して提供開始したりしました)が、あるときエグゼクティブ・サーチの会社(つまりはヘッドハンターですね)から声がかかり、ある大手外資系戦略コンサルティング・ファームを受けてみないかということで、あまりコンサルティングというものを良く知らないまま受けたら、これまた運よく受かってしまいました(後から聞いたら中途でもかなり競争率は高いようです)。
転職はこれを皮切りに、このあと大手外資系医療機器メーカー、その後大手外資系戦略戦略コンサルティング・ファーム、そして今の国内系アドバイザリーファームへと、都合4回転職しているのですが、転職の成功には、その当時ではそうは呼ばれませんでしたが、この「セルフ・ブランディング」は欠かせません。
しかしこのセルフ・ブランディングという言葉自体は新しい概念でも何でもなく、マーケティングに他なりません。
これが判っていないと、こういう記事に書かれるような「痛い」ことになります:
マーケティングの本質とは、単に宣伝することではなく、価値を訴求することです。
自分をマーケティングするのですから、自分という商品は何がユニークなのか、そしてそのユニークさは自分を買ってくれる相手(転職の場合は受ける企業)にとって意味のあること(その企業が求めるポジションの要件への合致度)でなければなりません。
職務経歴書や履歴書には、一通り自分の学歴・職歴を書きますが、重要なのは自分がどういう強みをどう発揮しどう成長し価値を生み出してきたかをわかりやすく書くことです。何をやったかだけをつらつらと書いている履歴書もありますが、自分も採用担当としておそらく数千人の履歴書を見てきて思うのですが、実際の面接の際に、それをだらだら話すひとはまず間違いなくひっかりません。
要は自分をストーリーとして語れなければならないし、ストーリーに説得力を持たせる材料、ファクトとしてどこで何をやったか、というエビデンスが職歴なのです。
ぼくの場合は、応募する際に、すべてをまんべんなく書くのではなく、そのポジションに合った職歴を強調して書くようにしています。
また、どういう人物であるかが判るように、自分のモットー、信条を書くようにしています。たとえば、「迷ったら難しい方を選ぶ」というのがモットーのひとつです。