目下取り組んでいるScriabinのEtude作品42第5番嬰ハ短調(1902-1903年作曲)は、徹底的にアナリーゼ(分析)し、かれこれ1か月半練習しており、これまで2回人前で弾いていますが(1回はレッスン、もう1回は弾き合い会)、そろそろしっかり音源を聴いてプロの解釈や技を盗むべく、聴き比べしてみようと思います。
Scriabinの楽曲の中でも特に人気が高いこの曲は、YouTube上に多くの音源がアップされていますので、聴き比べるには適している曲です。
聴き比べといっても、優劣をつける訳ではありません。プロの特にライブの演奏の場合には、その時のコンディションもあるし、場との対話上そうなっているという部分も多少はあると思いますので、レコーディングしたものとは比べようもありません。
ただし一定の基準は必要だと思いますので、それは自分が楽曲をアナリーゼした結果にどれだけ忠実な演奏であるか、が基準となっています。
主な視点は以下のとおりです:
それでは行ってみましょう。順不同です。
音源はあまりに多いので、20本ほど視聴して気に入っているものだけを紹介します。
まずはトリフォノフ(Daniil Trifonov)の2013年イタリアでのライブ。
歌ってますね。アゴーギクも自然です。美しい響です。
次はStanislaw Neuhausの演奏です。ライブですがどこでいつ録画されたものかは不明。
センスを感じます。逡巡や苦悩、苦しそうな(この曲は冒頭にAffanatoと指示があります)イメージが打ち出された名演だと思います。
次はソフロニツキー。1960年モスクワでのライブ。
スクリャービンを弾かせたら一流のこの人の演奏は外せないですし、やはり見事です。
次は若手、ホジャイノフのクライバーンコンクールでの演奏(たぶん)。
クリアな演奏です。デュナーミクの変化はこのようにしてみたいと思わせる模範的な演奏。
最後に、この演奏を抜きにはこの曲は語れない、ホロヴィッツの演奏を。
言わずと知れた巨匠ヴィルトゥオーゾですが、驚くほど楽譜に忠実な演奏です。
ここまでにしておきます。リヒテル、キーシン、などこの他数々の演奏がありますが、「こういう風に弾きたい」という自分の方向とはややずれているので(好きなピアニストではあっても)、今回の聴き比べからは割愛します。