7年ほど前に取り組んでいた頃は、一見シンプルな譜面であるにもかかわらず、弾きにくい曲だと思った。
しかし、あれからリスト(ドンジョバンニ)、スクリャービンのソナタ(3番、7番)、メシアン(喜びの聖霊のまなざし、まなざし6番)など難曲に取り組んできたおかげで左手のコントロールがかなり進化したことに起因するのか、今となっては何に苦労していたのか思い出せない。
以前、「こういう演奏は好きになれない」を各曲について簡潔に述べてきたが、この曲については、「左手ばっかりになっている演奏」「吠えまくっている演奏」が好きになれないと書いた。
どうしてこういう演奏になってしまうかと言えば、左手に苦労していることが主因だろうと思う。メカニカルに余裕をもって弾ければ自ずと音楽的な表現は可能になるし、音楽的な表現ができなくてはそもそも演奏する意味がない。
もっともこれは作品28の全ての曲に共通して言えることではあるが。