コンサルタント=ピアニスト=ランナーはきょうも語る

現役経営コンサル兼ピアニストがランニングと仕事術とピアノと英語とかについて語ります

ショパンエチュード最難曲は10-11

 小学生の頃、親が持っていたサンソン・フランソワポリーニの全曲演奏のレコードを聴いて虜になってしまったショパンエチュード作品10と作品25は、自分にとっては未だに至高の作品である。

作品10は5年ほど前に全曲をリサイタルで弾いた。

作品25は4,5,6,7,8,11,12は公開演奏で弾いた。

10-10と25-5はコンクールでも弾いた。

10-2、10-10、25-5、25-6、25-8は集中的にレッスンも受けている。公開レッスンも含め。

他の曲も何度となく弾いている。

ショパンエチュード全曲録音は20以上違う録音を聴いている。最新のはルービンシュタイン国際のトリフォノフを作品25だけだが聴いた。

 

そんな自分が作品10と作品25の全24曲中最も音楽として要求度が高い最難曲は作品10第11番変ホ長調である。

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メカニカルに左右の分散和音を正確に弾くだけで難しいが、この曲はほとんど6声のポリフォニーであり、どの声部をどういうバランスで弾くか、どのラインをどう出すか、はとても難しい。

さりげなくアルペジオで書かれているので、どう弾くかで弾き手の理解の深さとセンスと技術が容赦なく試される。

左手は単なる手の都合で親指にアクセントが無意味についてはならない。

バスラインは常に重要である。

和声の変化による色彩とデュナーミクもどこまでも丁寧に。

うまいそばは本当にうまい

先日、仕事で長野に行った際、お客さんが穂高にある「くるまや」というお蕎麦屋さんに連れていってくれた。

山菜蕎麦をいただいた。

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これは今まで長野で食べた蕎麦のどれよりも美味しい。

だし、そばのコシ、山菜、ねぎ、どれをとっても美味しい上に、調和が絶妙である。

美しい音楽に似ている。

やはり地元で育った材料を職人達が丹精込めて育て上げた伝統のなせる技というものであろう。

東京からはかなり行きにくい場所ではあるが、行く価値はあると思った。

楽曲にコミットするとはどういうことか

これまで真剣にピアノに向き合ってきたと思っていたが、これまで何度も壁にぶちあたり、都度反省をしてきたが、今回は反省ではなく、決意表明である。

楽曲にコミットするのだ。

ただ単に弾けるようになりたいとかコンクールに出たいというレベルではない。

真の意義におけるコミットメントである。

コミットメントとは自らの選択肢を絞り、自分を縛ることである。

弾けないというオプションは無い。

弾けるというのは本当に弾けるのだ。

揺るぎない解釈と完全なる制御は必須。

一音として曖昧な音は存在し得ない。

その楽曲を演奏することが自分にとって当然であり至極自然なことになるのだ。

そしてそこに至る過程は未来に導かれており一切の妥協も無駄もなく、確実な進歩と到達への確信がある。

スマート農業をhypeにしてはならない

ここ1年、にわかに「スマート農業」が脚光を浴びており、日本のみならず米国でも欧州各国でも様々な取組が進められており、市場の動向を読み経営を指南する立場としても大いに着目している。

実際にスマート農業を手掛けている方々とも話をし、実際に農業を行なう現場もみている。

海外では、スマート農業とは言わず、意味は異なるがvertical farmingとかurban farmingと呼んでいることが多い。それは都市もしくは都市近郊で地産地消もしくはそれに近い形で安定的に青果を生産する、しかもvertical farming(垂直農法)であれば文字通り垂直方向に空間を有効活用できるという利点も注目され取組が増えている重要な要因である。

たとえばスウェーデンのPlantagonという企業は、超高層ビルの全面を垂直農場にするというアイデアを実現している。

www.plantagon.com

この高層ビルがオフィスであるにしても住宅であるにしても、単に美観に優れるだけでなく、居住空間としても快適ではないだろうか。Plantagonのコンセプトはビル内の排熱や排気中のCO2、そしてビル内の有機廃棄物も栽培に用いる(リサイクル)するものである。

別の例では、これも屋内でのvertical farmingを手掛ける米国のベンチャーPlenty社にソフトバンクが出資したというニュースがあった。

www.sbbit.jp

 

また、これは半年ほどまえのForbesの記事だが、注目の「アグリテック」スタートアップ25社が取り上げられており、それぞれが異なる技術や手法で農業の革新にアプローチしていることがわかる。

www.forbes.com

 

食の安全の問題は農薬や化学肥料、添加物にとどまらず、従来の農業のあり方そのものを見直すことをますます迫っている。これに加えて、昨今の異常気象が以上であることが正常化するような形にもなっており、消費者にとってみればそれに起因する野菜価格の乱高下は家計面で深刻な問題ですらある。

スマート農業で、従来の常識にとらわれることなく、安定的に(これは価格の抑制にもつながる)安全な食品を生産することができるのであれば、それは当に先進国、新興国を問わず、決して誇張ではなく人類を豊かにする手段として看過すべきものではないと思う。

fitbit日記:サンチアゴに到達

2018年1月30日、2015年10月14日にfitbitを開始してから840日目での累積歩行距離が17,250km、東京からチリの首都サンチアゴ(San Tiago)までの大圏距離17,246kmを超え、いよいよ地球🌏の裏側にディープに入ってきました。

チリは日本人にとってはチリワインを除くとあまり馴染みのない国かもしれませんが、世界的に重要なアタカマ砂漠にある世界最高地点の天文台があり(友人である天文学者がしばしば訪れています)、またあの絶海の孤島イースター島もチリの領土であるなど、いくつか重要な意味を持っています。

南米主要国はあとブラジル、アルゼンチン、ウルグアイパラグアイ各国の首都が目標です。

地球半周は20,004km、残り3,000kmを切ったので、これまでのペースで行けばGW頃には達成できます。

達成したらFitbitを卒業しようと思っています。

新規事業は必ず失敗する

企業が存続するには新規事業は必要である。

如何なる事業も衰退を免れない。未充足であった顧客ニーズは充足され、成長事業であれば新規参入も促され競合は激化、収益性は低下し市場は縮小する(残存者利益はあり得るが必ずしも持続可能ではない)。

現時点で企業の収益を担っている主力事業が衰退したら企業の存続は危ぶまれる。

したがって適時に(before it's too late)新規事業を立ち上げ、次代の収益源に育て上げなければならない。

しかし新規事業は「必ず」失敗する。ここでいう新規事業は「片手間」的な、「おまけ」的な新規事業ではなく、上記のとおり次代の収益源たり得る事業を意味するものとする。

新規事業のパラドックス

なぜ失敗するか。構造的に失敗が約束されているからである。その構造とは、「鼻が利く」領域でなければ戦えないし、鼻が利かないから十分な経営資源配分を意思決定できない。投資意思決定できても勝ち目は無いし、そもそも意思決定できないから戦うことすらできない。

巷で新規事業と呼ばれているものは、大企業が何か新しいことをやらなければいけないという意識はあるが、うまくいくかどうかわからないことに大きな投資(ヒトモノカネ)ができないから申し訳程度の投資しかせずちまちまやっていることが大半である。

資金だけでなく、エース人材は投入されないし、トップがコミットすることも(言葉以上のことは)ない事業が成功する筈がない。そのうち成功するかもしれないと思うのは甘い。競合に先んじられるリスクもある。

既存の組織の論理が構造的な失敗を保証するのだ。

パラドックスを打破するにはどうすればいいか。

新規事業のプロというのがいる。

 

PMBOK

これまで国家資格、国際資格、語学検定など様々な資格を取得してきたが、それら資格が直接役立ったことはまず無く、むしろ学習の動機付けとしての意味合いが大きかったものばかりである(学習自体あまり意味がないものもあったが)。

それらの中で特に役立っているのがPMP (Project Management Professional)であり、そのテキストがPMBOK (Project Management Body of Knowledge)である。

PMPはプロジェクトマネジメントに関する国際団体であるPMI (Project Management Institute)が運営する試験に合格し、PMIが認定する国際資格であり、プロジェクトマネジメントの世界では既に一般的に通用する資格である。

www.pmi.org

ここでいう「プロジェクト」とはきわめて広い概念である。

システム開発、建設、新規事業、新商品開発、経営コンサルティングなどはすべて包含される。

プロジェクト・マネジメントはまだまだコンサルティングの世界ですらその重要性・価値が十分に認識されているとは言い難いが、決められた納期に、所期の品質を限られた資源(人、モノ、金)で満たすことが求められるプロジェクトはそもそもそのマネジメントが成否の鍵を握るものであるものの、一般にきわめて複雑であるが為に、従来なかなか体系化することが難しかったものである。

この問題を正面からアドレスしたものがPMBOKである。

PMBOKは一冊の本になっており、原著(英文)で500ページにもなる分厚い本であるが、PMPを取得しようと思えば、全て読破するのみならず、体系化された概念を実際に応用することが求められる。

PMBOK不定期に改訂され、最新版は2017年に改訂された第6版である。

PMBOK® Guide – Sixth Edition | PMI

 

先日自分が参画する異業種勉強会でも、このPMBOKの重要性は業種や職種を問わず極めて有効であることを力説した。

 

とはいっても英文で分厚いものを読むのはあまりにハードルが高すぎるので、簡潔に日本語で説明しているサイトをまずは読まれると良いと思う。

たとえばここなど:

www.consulting-skill.com

 

感動する練習

最も効率的効果的な練習とは、常に感動している練習だ。

あるピアニストの言葉からヒントを得た。

ピアノにふれたばかりの子供ならともかく、自分の練習で感動を覚えることは難しい。

しかし誰でも時折「あっ わかった!」「あっ 弾けた!」と感動する瞬間はあるはず。その時ひとつ飛躍している。

これが常に発生するような練習は可能なはず。

今日一日研究する。

メシアン「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」第6番「その御方によって全ては成された」分析

昨年11月中旬に譜読みを開始した、20世紀最高(最大とする人もいる)の作曲家(異論はあるだろうが)オリヴィエ・メシアン(1908~1996)作曲(1944年)のピアノ組曲「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」第6番「その御方によって全ては成された」の分析を試みます。

まずタイトルの下には作曲者によるコメントが記されています。人の想像を超える空間と時間の広がり、銀河から光子までの(マクロからミクロまでの)スケール、反転する螺旋や逆行する雷光、と天地創造の瞬間を描こうとした意図が読み取れます。

【譜例1:タイトル、サブタイトル】

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この曲は、冒頭に提示される主題が、メシアン独自の様々な技法で展開されます。

この曲は大きく10の部分からなります。表の左端がセクション番号、その右が小節数(何小節から何小節まで)、そしてそのセクションの特徴(内容)です。

【図表:曲の構成】

Section #MM from to Description 内容
1 12 1 12 Presentation 主題・対主題提示
2 30 13 42 Canon 主題カノン、逆行不可能なリズム
3 19 43 61 Asymmetric Aggrandizement 主題断片、非対称な拡大
4 7 62 68 Theme d'accords 調和の主題、分散和音
5 19 69 87 Asymmetric Aggrandizement (mirror) 3の鏡像(逆行)
6 30 88 117 Canon (mirror) 2の鏡像(逆行)
7 12 118 129 Canon, aug fifth 1の鏡像(逆行)
8 31 130 160 Canon, Asym. Aggr. 主題カノン、非対称な拡大
9 43 161 203 Theme of God and Love 神の主題と愛の主題
10 27 204 230 Coda-Finale コーダ/フィナーレ

 

第1セクション(主題提示)では、低音域に16分音符で主題が提示され、右手には対主題が置かれます。楽譜には調性が示されていませんが、嬰ニ短調(的)です。これは、メシアンがまなざし10番の狩りの歌、15番や20番で主調として用いている嬰ヘ長調平行調(平行短調)に相当し、この曲もセクション9以降は嬰ヘ長調です。

【譜例1:1-2小節】

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セクション1は12小節までです、冒頭のアウフタクトを含む(メシアンの場合の小節の数え方はアウフタクトや1音のみの小節(これは定義によりbarなので)も含めて数えます。 2小節目からは低音部の主題が「非対称な拡大」で展開されます。右手は主題がリズム、レジスター変化を受けたもので、主題と主題の対応になっています。

7-8小節は主題の反行形で、右手と左手も入れ替わっています。メシアンが愛した対称性がはっきり表わされています。

【譜例3:1-12小節】

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第2セクションは13小節から42小節までの30小節です。セクションの始まりは主題による3声カノンです。ストレッタです。。13小節からは増8度間隔でソプラノ、テナー、バスにこれもメシアン独自の技法である「逆行不可能なリズム」(つまり逆にしても同じリズムということ、時間軸上の対照性、鏡像)を用い、アルトに16分音符のパッセージが絡みます。

【譜例4:13-20】

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23-24小節にはメシアンの「テーマ」の一つ、「調和のテーマ」を凝縮したものが現れます。 この16分音符による和音のパッセージは天上の響です。subito p(突然ピアノ)で軽やかに、前のsfzも16音符なので音価は正確に間を開けずに弾くことが求められます。

【譜例5:21-25小節】

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 26小節目から再び主題の3声カノン(ストレッタ)ですが、今度はソプラノ、アルト、テナーに完全5度、減5度間隔となります。そして、バスに重音パッセージが出てくるのでより弾きにくくなりますが、実はバスの重音パッセージは主題の音程にほぼ沿って上下行するので(あくまでも方向的に)規則性ではなく、歌うように弾くことが重要です(どこでもそうだといえばそうですが)。

【譜例6:26-31小節】

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そして再び調和のテーマが現れ、ここまでがセクション2です。

セクション3は、43小節から61小節までの19小節で、まずは主題が左手オクターブで奏されます。

それに続くのはこれまた弾きにくい左右の腕が交差する装飾音だらけの主題レジスター変化形で、調和のテーマのトレモロが続きます。 

【譜例7:36-49小節】

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このように同じモチーフ(主題、調和のテーマ)が基本なのでわかりやすいといえばわかりやすいのですが、リズムとレジスターの変化があるので実際に弾くのはとても容易とはいえたものではありません。じっくりと響を聴きながら体に浸み込ませていくように丹念に部分練習を重ねましょう(と自分に言い聞かせる)。

 2か月以上経ったこともこともあり、ここまではほぼ暗譜できた状態です。

問題はここからです。

50-58小節は、この曲の最大の難所(3か所あります)のうちの一つです(とはいっても曲全体どこをとっても難所と言えば難所ですが。

【譜例8:50-61小節】

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【譜例9:62-71小節】

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【譜例10:72-77小節】 

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【譜例11:132小節~】

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【譜例12:142小節~】 

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【譜例13:152小節~】 

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【譜例14:162小節~】 

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【譜例15:172小節~】  

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【譜例16:183小節~】

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【譜例16:196小節~】 

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【譜例17:204小節(小節後半)~】 

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【譜例18:213小節~】 

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【譜例19:223-230小節(最終)】

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